A.山歩き/2.山紀行/・・八ヶ岳−天狗岳
八ヶ岳−天狗岳

ーー唐沢鉱泉から大パノラマの西尾根を経て西・東天狗岳へ登るーー


唐沢鉱泉から天狗岳に登る。諏訪ICをおりて茅野市内を通って三井の森の方面に向 かう。三井の森を過ぎると唐沢方面の案内があり、左の未舗装のジャリ道に入る。 ジャリ道であるがでこぼこはなく、シモツケソウの咲く広い良い道である。しかし、 「組合員以外山菜取り禁止」の看板がいたるところに立っているのは興ざめであった。
唐沢鉱泉の前には駐車スペースがあり、そこに駐車した。唐沢鉱泉でポリタンク に水を補給し、天狗岳登山の案内パンフレットを頂いて出発した。西尾根から天狗岳 へのコースをとる。
唐沢鉱泉は標高約1800mで、天狗まで標高差800m位である。車での日帰 り登山では、自分の経験では標高差1000m位が限度のようで、今日は相当きつい 山登りとなることを覚悟しながら登りだす。
取付点付近にはミヤマオダマキが咲いていた。いろいろな花を楽しみながら登れ るのではと思ったが、すぐツガ、モミの木の樹林の道に入った。 尾根まではかなりの標高差であるが、道は直登でなく、斜面を迂回しながらジグザクと比較的緩やかに続き、いつ のまにか高度を上げて行く。
途中、ツガの木からダケカンバの若木の林になったりするが見晴らしはきかず、 樹林の道を黙々と登る。
時々、ゴゼンタチバナの白い花が気分を和ませてくれる。やがて、一時間もする と西尾根にたどり着く。そこから尾根伝いの道となるが相変わらずツガなどの樹林の 道で単調な登りが続く。
しばらく行くと樹間から北アルプスの白い峰がチラリと見え、だいぶ高度を稼 いだことがわかる。
樹林の急登を登りきるとヒョコリと視界が開け、左手に赤岳、阿弥陀岳、右手 の遥か彼方には中央アルプスの山々であろうか山並が見える。
今まで林の中の道ばかり歩いてきたのですばらしい眺めに声もでない。我に返って 付近を見渡すとシャクナゲの花が咲いていた。こんな時期にシャクナゲにお目にか かれるとは驚いた。蕾はピンク色がかっているが、開いた花の色は薄黄色で、ハクサンシヤ クナゲのようである。
ここから第一展望台まで10分との標識があった。小休止してまた、樹林の中 を第一展望台へ向かう。目標がはっきりしているので歩く方も元気が出る。
10分もしただろうか、北側はハイマツに覆われているが、西側は 岩場の遮るものがない展望台に樹林の中から飛び出した。
既に先客がおり、展望を楽しんでいる。この展望台は天狗から硫黄岳、横岳、 赤岳、阿弥陀岳、さらに肩越しに編笠岳も見えるダイナミックな展望台であった。
しかし、ここは第一展望台と思っていたが、後から来た山慣れた夫婦連れは、 10分にしては早いし、ここは第一展望台でないと思うよと、少し休んで行って しまった。
我々は十分休憩して出発した。2、3分歩いたら 同じような展望台に着いた。標識もあり、そこが第一展望台であった。
写真を写し、第二展望台に向かう。この展望台付近の尾根はハクサンシャクナゲ が多く、花の時期としては丁度良い感じであった。第一展望台から第二展望台まで約30分 であるが、標高が高くなったので樹木の背丈が低く、真夏の太陽が照り付け、 汗だくになりながら登った。
第二展望台の展望はさらにすばらしく、これから向かう西天狗のピークが近くに 迫り、天狗から下ったところの鞍部にある根石山荘が眼下に見下ろせ、横岳、赤岳、 阿弥陀岳の大パノラマが迫ってくる。
ガイドブックには八ヶ岳随一の展望と書いてあったがその通りである。しばらく 展望を楽しみ山に来た幸せを十分に味わう。いよいよ待望の天狗岳である。 一旦鞍部まで下り、岩のゴロゴロしている道の直登である。丸や矢印に導かれながら 登る。
左手には蓼科山や遠く霧が峰の山々が望まれ、岩場にはハイマツに混じって ハクサンシャクナゲが咲き、きつい登りを和ませてくれる。
やがて、直登も終わってガレ場状の道を登り切ると西天狗岳であった。前の展望台 での展望に加えて、東天狗のピークが向うに見え、さらにスリバチ池、黒百合 ヒュッテの屋根が見える。標識をバックに写真を写し、小休止して東天狗へ向かう。
ガレ状の道を下り鞍部につくと、コマクサの群生があり、写真を写す。 東天狗まで15分とあるが、石のゴロゴロした登りは思うように足があがらず、 結局、倍の時間かかってしまった。
東天狗で昼近くなり、ニューの方を展望しながら昼飯しとした。これから黒百合 平に下るのにスリバチ池経由にするか、中山峠経由にするか迷ったが、 二十歳代の頃、冬の東天狗に登ったことがある。高見石小屋から中山峠を通っての 往復である。 今、下を見ても余り思い出せない。登るとき左側の雪庇を踏まないように注意 して登った記憶だけである。もう一度思い出すために中山峠に行ってみることにした。
ほとんどの人はスリバチ池の方に下る。妻は「なぜ、遠廻りして中山峠に行くの」 と云うが、「余りかわらないよ」と下る。真昼の一番暑い時で、しかも風もなく暑い。 道は石がゴロゴロしており気が抜けない。ようやく、スリバチ池の高さの岩の ゴロゴロしたところに到着する。
振り返ると美しいスロープの鞍部の両脇に西天狗、東天狗が横たわっている。 それをバックに写真を写す。そこからひと下りして中山峠に着いた。
何で峠なのか、右側が切れこんでいるのに。稲子湯方面への道が本当にあるの か覗くと、木に掴りながらながら急斜面を登ってくる人がいる。いろいろな人がい るものだと感心する。
中山峠まで一時間位かかった。この調子だと唐沢鉱泉は15:00頃になる。 余りゆっくりしていられないので、そのまま休まず黒百合ヒュッテへ向かう。 黒百合の咲く草原のヒュッテを想像していたが、草原はロープを張って立入り禁止 となり、チョット見ただけであるが、花は見当たらなかった。
残りのおやつを食べ小休止する。 唐沢鉱泉への下りは、これから約2時間、思いやられる。大石のゴロゴロした道で、 石を飛び渡りながらの下りである。だんだん膝がくたびれて来た。 30分に一回位休み休み下る。
思ったより早く渋温泉分岐に到着し、左の唐沢鉱泉方面に下る。ようやく大石 から開放されるが、だいぶ道は荒れている。水の流れていない空沢を渡ったので、 もう唐沢鉱泉かと思ったが、なかなか着かない。
だいぶ迂回しているのか、花は終わっているがシャクナゲの木の多いところに たどり着くと、ようやく唐沢鉱泉の屋根が見えて来た。もう15:00時である。 これから15分は掛かりそうだ。唐沢の橋にたどり着き、林道を2、3分下ると 左側にプールみたいな池があるところに着いた。
上から勢いよく水が流れ込んでおり、唐沢鉱泉の源泉のようである。ガイドには、 少しすっぱいが胃に良い、また水割りにも良いとあった。ポリタンクの水をあけ、 源泉を入れる。手ですくって飲んでみたら、すっぱい。確かに鉱泉である。 冷泉であるのに、よく昔の人は見つけたものだと感心する。
鉱泉の玄関で写真を写し、帰りの途につく。ひと風呂浴びて帰ると良いが、 順調にいっても家に着くのは20:00時である、遅くなるので今回は断念する。
帰りの中央高速は最悪であった。勝沼から小仏峠まで渋滞しており、家に着いた のは22:00頃であった。くたびれた山歩きであったが、すばらしい展望の山で あった。将来、足が弱ってきた時の山歩きのコースとして、唐沢鉱泉に泊まっての 展望台往復も良いのでは、と思った。(1995−7−30歩く)

(コースタイム)
自宅3:50−相模湖IC5:00−双葉SA5:46〜6:14−諏訪IC6:50 −唐沢鉱泉7:20〜40−西尾根8:40−第一展望台9:30〜40 −第二展望台10:10〜15−西天狗11:05〜15−東天狗11:40〜12:0 −中山峠13:00−黒百合ヒュッテ13:05〜15−渋の湯分岐13:55 −唐沢鉱泉15:15

(地図)
・昭文社 山と高原地図 八ヶ岳・蓼科

(ガイド)
・山と渓谷社 アルペンガイド 八ヶ岳・北八ヶ岳
-西尾根コースが記載されている。

A-2[山紀行]へ戻る