A.山歩き/2.山紀行/・・姫木平・殿城山
姫木平・殿城山

ー霧ケ峰のように高原の花が咲き乱れ、しかも静かな山歩きが期待できる山ー
ーヤナギランの咲き乱れるサブコースもありますー



姫木平・殿城山(1998-8-1歩く)
ニッコウキスゲの咲く車山湿原の向うの尾根にどういう風景があるのだろうか。 車山に登ったとき妙に気になった。そこは調べてみると姫木平の殿城山であった。 一通り霧が峰も廻ったので、殿城山に登ることにした。
白樺湖を越えて姫木平 へくねくねと下る。カーブも終わり平坦な道をしばらく走ると、姫木平の別荘、ペ ンション地の入口となり、左折して道なりにどんどん登って行く。
途中、洒落たペンションがところどころに見える。また、ベランダや庭に色とりど りの花が溢れるばかりに咲いている。それを上りながら見るだけでも楽しい。
やがて、エコーバレースキー場が現われるが、右手に見送って更に登って行く と、先ほどのスキー場のリフトの中継点の広場に達する。 そこには広々とした駐車スペースやレストハウス、リフト乗り場があるが、今は季節 外れで閑散として寂しい光景である。
身支度をして、歩き始めると犬を連れて散歩しているおばさんと出会った。道を 聞いたところ、「熊がでたことあるので気を付けて」と云われ、家内はビックリする。 えらいところに来たなあ、という顔つきである。少し行って、軽トラ ックで登ってきたスキー場を保守する人に、念のため道と熊のことを聞いてみたところ、 今は熊は出ないから心配ないよ、と言われ家内も安心する。
道端にアザミ、朱色のフシグロセンノウ、トラノオなどの咲くカラマツで囲まれ た林道を登って行くと、左手が開けヤナギランの咲いているところにでた。 その先、少し行くと林道の終点となり、広場には白樺が青空に輝いていた。また、 そこには車山、殿城山方面への道標が立っていた。
左のカラマツ林の道に入って、いよいよ山道となる。道の草が刈り払われた手入れ の行き届いたカラマツ、ズミの樹林帯の中の道を行く。
樹林を抜けると、草原となりアザミ、コウリンカ、ヤナギラン、等が咲くお花畑 が広がっている。草原にはレンゲツツジの株も多く、6月中旬頃には見事な光景に なるだろうと想像させてくれる。
やかで、草原の登りとなる。振りかえると、蓼科山 が競り上がってきて大きく見える。また、これから登る殿城山も見えてくる。
しばらく登り、火口の様に左側斜面が切れてくると、今まで見られなかった マツムシソウが現われ、左手前方にはこれから歩く外輪山のような稜線が 見え、更にその向うに車山も見える。
コウリンカ、マツムシソウ、カワラナデシコ、ワレモコ、アザミ、等を愛でながら 登ると、やがて男女倉ピークの稜線に達した。左斜面の草原にはマツムシソウ、 カワラナデシコが咲き乱れている。ここからは快適な稜線歩きである。
すこし行くと 右側からスキー場のリフトが上がってきていて、廃虚となったレストハウスがある。 地図を調べるとブランシュたかやまスキー場とある。ここが大笹峰である。 この周りも花が多い、今までの花の他にギボシ、クルマユリなども咲いている。
左手は遮るものがなく快適な稜線歩きを進めてゆくと、やがて道標が立つ八島湿 原への分岐に達する。そこから、5分も登ると北の耳のピークとなり、遥か右手遠く に広々とした八島湿原と赤い屋根のレストハウスが眺望される。
北の耳の左側は切れ落ちており、風通しが良く涼しい。そのためか、切れ落ちた 急斜面にはニッコウキスゲの残り花がチラホラと咲いている。このピークを下ると お花畑でヤナギラン、名の分らない黄色の花が咲いている。
前方を見るとこれから行く方向にピークが見え、それに向って細い道が伸びて いっている。そのピークは南の耳である。登りの斜面にはマルタケブキの黄色い花と ヤナギランが群生している。結構きつい斜面であるが、写真を写しながら登っている うちにピークに達した。
そこからはなだらかな草原の道を行く。草原の彼方まで 広がっているマツムシソウと小さいススキの原が時々草原を渡る風でなびいている。
しばらく行くと右手に蝶々深山が見えてくる。多くの人が車山湿原の方から行列 を作って頂上へ、更に八島湿原の方へと歩いて行くのが小さく見える。こちらは閑散と して貸切のようである。
殿城山分岐に着くと、さすがに車山からくる人もいて、休んでいる人も多い。 分岐より殿城山寄りに行ったところで昼食とする。付近はシモツケソウが多く、また、 クロマメノキも少しあり、実をつんで食後のフルーツとする。
一休みした後、殿城山へとレンゲツツジの多い斜面を下っていく。そのうちダケ カンバの多い道となり、少し開けたところに「約束の丘」の標識がある。その付近 には太いダケカンバの木が繁っており、樹間より蓼科山が見える。
樹林帯を抜けると殿城山との鞍部となり、そこから殿城山に広々とした 開放的な草原を緩やかに登って行く。左後方を見ると今歩いて来た稜線が遥か遠くか ら続いて来ているのが見渡せられ、随分歩いて来たものだと思う。また、正面の草原 の上には樹の茂る殿城山のピークが見える。
草原を登り切ると殿城山と姫木平との分岐となる。その左側の草原にはヤナギラン が群生している。写真を写した後、殿城山へ樹林の道を登る。あっけなく頂上に着い た。蓼科山方面は遮るものがなく展望はよいが、あいにく蓼科山は雲で覆われている。
分岐まで戻って左に姫木平へと草原の急斜面を下る。傾斜が緩くなるとダケカン バの石のゴロゴロした道となり、そこを抜けるとレンゲツツジの群生している明るく 開けたところとなる。レンゲツツジの咲く頃は良さそうなところである。
開けたところを緩やかに下ると、道はカラマツ林の中に入っていく。見晴らしの きかない緩やかな道を延々と下る。途中、左側に炭焼き跡が見えてくると間もなく林道 に出る。そこを左に緩やかに道なりに登っ て行くと、ゲートとなり、道もようやく平坦になる。道は右にも分岐しているが、左へ 行くと、やがて開けてきてスキー場の駐車場に着いた。

(コースタイム)
自宅4:30−諏訪IC7:26−エコーバレースキー場の駐車場(P)8:10〜8:25− 林道終点9:10−男女倉9:55−北の耳10:22〜32−殿城山分岐11:35 〜12:05−殿城山12:25〜35−炭焼跡13:10−林道13:16− 駐車場(P)13:30

(地図)
・1/25000 地形図 霧ケ峰
・殿城山略図 下図


●追記
  • 今回(1998-8-1)はテレビで、マツムシソウが咲き始めました、というニユースを聞いて 歩きました。
  • 2000年にも同じ8月1日に歩きました。しかし、ヤナギランもマツムシソウも一部 咲いてはいましたが、まだ早いようでした。咲いていた花は次の通りです。
    ・林道(A)
    キイチゴの実、ウツボグサ、アザミ、ホタルブクロ、オダマキ、ゲンノショウコ
    ・草原の登り(B)
    フウロウ、カワラナデシコ、アヤメ、アザミ、ギボシ、コウリンカ、 ワレモコウ、シナノキンバイ、ヒヨドリバナ、ヤナギラン少し、マツムシソウ少し、キリンソウ
    ・男女倉から大笹峰付近(C)
    イブキトラノオ、カワラナデシコ、ウスユキソウ、 ヒヨドリバナ、フウロウ、クルマユリ、ギボシ、マツムシソウ少し、ニッコウキスゲ
    ・北の耳付近(D)
    ニッコウキスゲの大群落、ヤナギラン少し
  • 1998-8-1と2000-8-1の2回歩きましたが、前者は秋が早まった年で、後者は花が 遅れた年のようです。通常の年の花の見頃は、ニッコウキスゲは7/20頃、ヤナギラン は8/上旬頃と思います。
  • 2000-8-1歩いた時、帰りの林道のゲート付近に熊の出没に関する貼り紙がありました。 実際に過去2回ほど秋に出没しているようです。樹林帯では鈴かラジオを鳴らして歩いた 方がよい様です。

     
    [スキー場サブコース]


    (2002-8-21歩く)
    歩いたコースは上に掲載の略図のP→A→B→C→D→E→スキー場を下る→Pである。
    南の耳を下ると左側に リフトが登ってきている。そこに行くのであるが、まずは平担になるまで尾根道を下ると 尾根のスキー場への分岐点Eに達する。分岐点Eには低い木立が立っており、蝶々深山の方 への立ち入り禁止の小さな白い看板も立っているので目印となる。スキー場へ下る道は割合 はっきりして迷うことはない。道なりに行くとスキーリフトの終点の小屋脇に出る。 そこから広いスキー場のメンテナンス道が左にトラバース気味に下っている。
    8/21歩いたときはハンゴンソウ、アキノキリンソウ、マツムシソウ、ワレモコウ、タムラソウ 、トリカブト、ハクサンフウロなどが花盛りであった。ヤナギランは盛りを過ぎていたがまだ穂先に 少し花をつけており、遠目にはピンクで、ハンゴンソウの黄色とのコントラストが美しかった。
    ・写真
    「山紀行」の殿城山のヤナギラン を参照ください。撮影は'02/7/22のもので、時期的には少し尚早であった。

    (2004-8-3歩く)
    歩いたコースは2002-8-21と同様である。この年の7月はほとんど雨が降らず空梅雨であり、横浜の7月の平均気温も過去最高を 更新した。こんなことから山の花も早く、ヤナギランは例年だと8月上旬が旬であるが、見ごろも過ぎ、花も痛んでいた。また、秋の花も早く、 マツムシソウも花盛りに近い状態であった。 状況は写真集「姫木平」の通りである。
    ・コースタイム
    (P)8:00--林道終点8:47--男女倉ピーク9:45--北の耳10:20--南の耳10:40--スキー場分岐(E)10:45-- 左端リフト降り場(昼食)11:20〜45--(P)12:35   〜〜のんびり写真写しながらのコースタイムです〜〜
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