A.山歩き/2.山紀行/・・ハマイバ丸

ハマイバ丸

明るくのびやかな草原とダケカンバの美しい道


湯ノ沢峠1687mピークから白谷丸斜面を望む


湯ノ沢峠からハマイバ丸往復('02-11-07歩く)
湯ノ沢峠には何回となくドライブがてら紅葉などを見に行って、大蔵高丸の手前の1687mピークあたりで弁当を 広げたりしていた。そしてそののびやかな草原がとても気に入っていた。しかし、不思議とハマイバ丸と か黒岳には登っていなかった。いつか歩くなら縦走と思っていたからである。景徳院に車を置いて、 そこからタクシーを頼んで湯ノ沢峠に向かって縦走して景徳院へ帰ってくるプランを立てていたが、足の具合を悪くしてその計画はのびのびになってしまっていた。
今回は足慣らしのつもりで大蔵高丸まで行く計画で出かけたが、 思ったより調子がよかったのでハマイバル丸まで足を伸ばしてしまった拾いものの山歩きである。

いつもの湯ノ沢峠の避難小屋前の駐車場に中央高速塩山・勝沼ICから約1時間で着いた。 今年は例年にない早い寒波の襲来で、上がってくる途中のモミジは落葉していないものの寒さで葉っぱ が縮んでしまっていた。また、樹間から見えた黒岳の山頂付近はもう霧氷なの か雪なのか真っ白であった。峠ではもうすっかり冬の装いで木々の葉はすっかり散ってしまっていた。
寒々とした避難小屋の脇を抜けて湯ノ沢峠に向かう。今朝はだいぶ冷え込んだようで道には霜柱が 立ち、ぬかるみのところはコチンコチンに凍っている。そのため比較的歩きやすい。
これまではコースタイムを手帳に書いていたが、今回はデジカメで要所要所で写真を写し、その記録データ をコースタイム記録として使用することにした。湯ノ沢峠の道標のところでデジカメで写真を写し、右に 大蔵高丸の方に向かう。
雑木林を緩やかに登ってゆくと明るい開放的な広い草原にでる。 もうすっかり草原はベージュ色に変わり、オヤマボクチなどの花のドライフラワーが点在しており、 花盛りの頃の風景を想像させる。唯一彩を添えているのはノバラの赤い実である。 この赤い色は本当に美しい、周りがベージュのモノトーンの世界だからよけいかも知れない。 そして左側の樹林帯側の草原の所々に薄いワインカラーの塊となって点在している。
峠から5分も行くと「大和12景 湯ノ沢峠のお花畑」という真新しい白い標柱が立っていた。 さらにのびやかな草原を行くと1687mのピークの登りとなる。
ピークを登りきって後を振り返ると、 黒岳、白谷丸への斜面が大きく展開し、斜面の緑の笹の原には刺繍のように冬枯れのダケカンバの白い幹 が点在し美しい。黒岳、白谷丸の頂上付近は雪でも降っているだろうか雲がたれこめている。 また、モノトーンのベーシュの原を見下ろすと、今歩いてきた道が一直線に伸びて登ってきている。 さらに、ピークの左側はザレ場となって開けて見晴らしがよい。 正面にはこれから登る大蔵高丸がどっしりと立ちふさがっている。このピークはいつも弁当を広げるところである。
小休止した後、草原を緩やかにくだっていっ て、いよいよ笹の下草の生えるブナ、もみじ、コナラの混じる林の中の急登となる。ハマイバ丸への道での きつい登りはここだけである。幸い道が凍って固まっているので滑ることがない。 登りはだいぶ長いように感じたが20分程度であった。途中左側がガレて切れているところを抜け、 大きい岩が右手に出てくると間もなく大蔵高丸である。
樹林帯の道が平坦になるり、明るくのびやかな草原が開けると山頂となる。本來なら富士山が右手に見える はずであるがあいにく雲って見えない。ジッとしていると北風をさえぎるものがなく寒くなる。ハマイバ丸 方向の下のほうに標識が見える。風をさえぎるためにそこまで下ってみることにする。
標識のところに来ると風も収まったので小休止する。時間を見るとまだ出発してから1時間も経っていない。 地図を広げて先のハマイバ丸のコースタイムを調べてみると30分とある。足の調子もいいようなので先に行ってみることにする。
ここからは丘のような笹の下草の樹林帯のピークへとゆったりと登ってゆく。そこを登りきってゆくと 開けてきて草原に出る。草原の向こうにはまた冬枯れの樹林帯が見える。 樹林帯にたどり着く間にダケカンバの疎林があったり、またツルウメモドキが冬枯れの樹に絡まり、彩を添え たりしていいる。
そしてまた樹林帯に入ってゆく。それをけ抜けると草原となり、オヤマボクチとかの ドライフラワーが群生し一本のダケカンバの木が冬枯れの山の風情を演出している。
そしてまた樹林帯に 入り抜けると草原なり、その向こうに樹林帯のピークが見える。時間的にあの向こうがハマイバ丸だろうと 想像されるところの草原は広々としている。左側には隣の雁が腹摺山が草原のススキとダケカンバの向こうに 眺望され、右にはダケカンバの林が櫛の形にシルエット状に美しく林立している。 さらにゆくと左側が潅木が点在する草原となり、ツルウメモドキがクリスマスのイルミネーションのように木立に 絡まっていたりする。
そしてまた下草が笹の樹林帯を登ってゆく。やがて平坦となり疎林の中に道標と三角点が見えてきてハマイバ丸 に着いた。峠から1時間と15分かかった。
帰りはデジカメからリバーサルフイルムに替えて、写真を写しながらのんびりと下った。 帰りの道は凍っていた泥んこ道が溶け出し、団子のように靴につくわ、下りでは滑るわ、で往生したが、 ダケカンバの幹の白、クマ笹の緑、ノバラの実のワインカラーが本当に美しく、被写体にことかかない 至福の帰り道であった。自然はすごいなあ、と思う。冬枯れのベージュのモノトーンの世界でも あれだけの演出をするのだから・・・。
そしてまた いつもの大蔵高丸の下の1687mのピークで弁当を広げ昼食をとり、楽しかった山歩きを終えた。

(コースタイム)
自宅5:00--相模湖IC6:20--塩山勝沼IC7:00--湯ノ沢峠(P)7:50〜8:02 --ピーク8:19--大蔵高丸8:42--ハマイバ丸9:16〜25--大蔵高丸10:50〜56--昼食のピーク11:22 〜11:45--湯ノ沢峠(P)12:15

(地図)
・昭文社 山と高原地図 大菩薩連嶺
・1/25000 地形図 大菩薩峠 笹子

(写真)


・「野の花の風景」にハマイバ丸のツルウメモドキを掲載しております。


●追記
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