A.山歩き/2.山紀行/・・甲州・日向山
甲州・日向山

ーーまばゆいばかりの白いザレと林立する風化した岩の展望の山ーー


甲州・日向山(2000-7-19歩く)
甲州の日向山は白いザレと甲斐駒の展望で良い山であることは知っていたが、展望 の山よりも樹林と花の山が好きであるために日向山は後回しになっていた。テレビで南ア ルプスの天然水のコマーシャルを見るたびに日向山を思いだし、季節はずれであるが 登って見ることにした。
日向山の登山口である白須は中央高速の位置からすると須玉ICになるだろうが、 20号線に渡る幹線道路がないので、韮崎ICで降りてトンネルをくぐり、 20号線にでて白州町に向った。
白州町には名水公園があり、その標識を頼りに行くと白州町役場のすぐ先に名水公園 、尾白川渓谷方面の標識があり、左折する。白州中学校の手前を左に行くと名水公園で 、日向山へはそのまま直進する。竹宇部部落を過ぎると左に尾白川渓谷、神社への道 を分けて赤松の多い別荘地の中の林道を行く。
しばらく行くと右へ広域道路が分 れているが、日向山の標識に従がって直進する。やがて、道はくねくねと登っていき 、そのうち舗装が途切れて少し行くと右側に日向山ハイキングコースの看板が出てくる。 その付近は道が広くなっていて、車を4,5台置けそうなところであった。そこに車を 置いて、赤松の林の斜面に取りつく。
道は良く手入れされていて歩きやすい。 この辺には矢立岩があるとのことであるが、登って間もなく左側に大きな岩があり、それかな と思ったが、だいぶ行って右側にも大きな岩がありその周りには踏み跡もあったので、後者 の方であろうと想像する。
赤松にコナラが混じる道になり、更に行くとカラマツ 林の道に変わる。カラマツ林ではハルゼミが鳴き出し、山の静けさをしみじみと感じる。緩やかに上っていくが展望はきかない。しばらく黙々と登ると、尾根の 先端の平坦部に達して右側のカラマツの木々の間から八ヶ岳だろうか、山が見える。 見晴台と名づけて5分ほど休憩する。
右側がカラマツで左が雑木林の尾根道を行くが 、すぐ登りとなり、小さなお地蔵さんが左側にある。お賽銭箱があり、賽銭をあげて 山歩きの安全祈願をする。25分も見晴台から登るとブナ、モミの木が混じる緩やかな 登りとなる。その後、小さい笹の生えるカラマツ林となり、大分上がって来たことを 実感する。
このような道をさらに25分も登ると平坦になり、はじめて僅かに下り となる。少し行くと本格的な下りとなり、前方を見ると、鞍部に電柱が立っており、 道はさらにその先のピークへ登って行っている。鞍部に到着してみると電柱でなく、自動 雨量計であった。
ピークへ登っていくと平坦となって、日向山の三角点の 場所を示す標識が立っている。それにしたがって右のカラマツ林に入っていくと 三角点があった。 しかし、標識もなく展望もきかない日向山の山頂であった。すぐ戻り、 雁が原に向う。
ブナ、コナラ、ミズナラ、ドウタンツツジ、カラマツ、ダケカンバ、 ナツツバキ、ナナカマド、カエデ等、木々の種類の多い雰囲気の良い樹林帯の 平坦な道を行く。道の地面が砂浜のようにだんだん白い砂に変わり、カエデ が多くなると、パッと視界が開けて雁が原に飛びだした。それまでほとんど展望がなかっ た樹林帯の道であったので、まぶしく、また、一気に開放され、思わず喚声があがった。
目の前は白いザレのテラスである。太陽にさらされて目にまぶしい。その先は 切れ落ち、花崗岩の風化した岩峰が荒々しい風景を作っている。右手には八ヶ岳が 眺望され、目の前には谷筋が崩壊し荒々しい山肌を示している大岩山が、左手には、雲に覆われて山頂は 見えないが、谷筋に雪を残す甲斐駒が見える。振りかえると、樹林帯との境に「山梨 百名山 日向山」の標識が立っている。一般的には雁が原が日向山の山頂ということ になっているようである。ここで写真を写し一休みして下る。
どの様に下るか、テラスの左側(南側)には白ザレの沢の源流をへだててザレ の尾根が見える。道はその窪んで右に落ちている白ザレの斜面をトラバース気味に 向いの尾根に達し、裏側に下っているようだ。家内がトラバース道は怖いと言うの で、樹林帯側のザレとの境の道を降りて先ほど見えたザレの尾根に出る。
尾根に出ると裏側の様子が把握できた。 裏側は沢の源流で、蟻地獄のように白ザレの斜面が下の樹林帯の沢に集まっている。 源流を囲む西側の稜線には風化した花崗岩の岩が林立している。 そして南西側下に稜線の鞍部があり、小さく道標が立っているが見える。そこから 道は樹林帯の沢へ斜面を降りている。
まずは鞍部まで降りることにする。尾根を真直ぐ西側に行き、それから斜めに左下へ ザレを下って樹林帯の近くまで行き、次に斜めに右下へと下ると鞍部となる。 結局、稲妻型に下ると鞍部に到達する。錦滝への道は鞍部から左へ傾斜も緩んできた白ザレの斜面を 樹林帯の沢に向って下っている。真直ぐ尾根沿いに行く踏み跡も風化した岩峰を登っており 、赤テープも木についている。これは大岩山方面への登り口のようである。
まだ、11時であるが、これからの下りは見晴らしの良いところはなさそうなので、 この道標のある鞍部で昼食とする。今、下ってきた白ザレの斜面を仰ぎ見ると青空に岩 峰がそそり立って迫って見える。
昼食を終えて、樹林帯の沢へと下っていく。 白ザレには草も多くなり、ホタルブクロ、白色のナデシコ(センジュガンピ)なども咲いている。樹林帯の沢沿 いの道を花を探しながら少し下ると、道は右の尾根に取りつき、尾根沿いに下って いく。この尾根の道はかなりの急勾配で、木に掴りながら下る。結構、ツツジの木が 多い。5月頃がよいのではないかと思う。何も展望のきかない急勾配を延々と下る。
そのうち鉄梯子を下る。そうすると水の音がするようになり、梢越しに滝が見え、 下に東屋の屋根が見えてくる。やがて林道に降り立つ。右に橋があり、その上流 には落差20m位あるだろうか、錦滝が見える。滝つぼのあたりまで行って写真を写し、 休憩した後、林道を矢立岩の登山口へと戻った。
林道には他の車は 駐車しておらず我々だけの静かな山歩きだったようである。帰りは名水公園に寄り( 入場料200円/人)、園内を散策した後、名水を汲み、コーヒーを飲んで帰路についた。

(コースタイム)
自宅5:08−韮崎IC7:35−矢立岩登山口(P)8:20〜30−見晴台 9:05〜10−日向山10:20〜25−雁が原10:30〜45−鞍部 11:00〜20−錦滝12:20〜30−みづがさわばし13:09− 矢立岩登山口(P)13:17

(地図・ガイド)
・1/25000地形図 長坂上条
・雁が原付近概念図 上に掲載
・山渓アルペンガイド北岳・甲斐駒・仙丈

●追記
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