A.山歩き/2.山紀行/・・宝生山
宝生山

ーひっそりとアカヤシオ咲く小さな山、峠までのアプローチもまた楽しく美しいー


プロローグ
今年(H12年)も五月連休はアカヤシオを見に行こうと、ガイドを いろいろ調べて、余りメジャーでない宝生山(ほうしょうざん)に行くことにした。最初は前日の4/27 に登るつもりであったが、天気が余り良くなさそうなので、翌日にした。
前日の4/27は 自宅−矢板IC−栃木県民の森−大笹牧場−霧降滝−日光輪王寺−富弘美術館− 国民宿舎サンレイク草木と廻った。
県民の森もヤシオツツジがありそうなので、登ってみたが、この年は春が遅く、 ツツジの蕾はまだ固かった。少し咲いていたミツバツツジとカタクリを見て、第一展望台で 引返した。その後、霧降高原有料道路を経て日光に向った。
霧降高原の木々の芽は固く、まだ冬景色であった。霧降滝は霧雨が降っていたせ いか、誰もいないく静まりかえっていた。そして、予想に反して、そこには満開のアカヤ シオがあった。薄暗い冬枯れの岩壁に点在して咲くアカヤシオは ピンク色の灯火を散りばめたように明るく華やぎ、春いち早く咲くアカヤシオの本当 の美しさを見せてくれた。

宝生山(2000−4−28歩く)
国民宿舎のサンレイク草木を8:00に出発した。足尾から右手の県道15号線に 入る。この道は粕尾峠を経て鹿沼へ抜ける道で足尾鹿沼線である。しばらく沢沿いを 行くが登るようになるとヘアーピンカーブが続く。そこには番号があって、(58) 番から始まった。どうも58ケもヘアーピンカーブがあるらしい。昨夜、大雨が降っ て山からの水が流れているところもあるが、道路状況は比較的良好である。
上に上がるにしたがって、木々は冬枯れになってくる。当初、横根山にも顔を出 してみようと思ったが、これではツツジは期待できそうにない。粕尾峠に達したが パスして宝生山へと下った。ようやく、下りきると58ケのヘヤーピンカーブが終わり、 道路は広くなった。少し行って右折して橋を渡り、林道大荷場木浦沢線へ入る。 道路は舗装しているが、昨夜の大雨で石や木、木の葉 などが散らばっている。また、崩れて石が堆積していたところもある。先に車が 通ったあとがあり、その輪だちにをたどって通りぬける。
どんどん高度を上げると木々の芽吹きが薄くなってくる。昨日、霧降滝でアカヤシオが 満開であった。あの標高から考えて、今度の峠は1000m近くあり、アカヤシオが 咲いているか心配である。
林道は山の尾根を巻きながら高度を上げていく。そろそろ峠と思えるところに来 たところ、ピンク色に染まった山肌が目に飛び込んできた。アカヤシオのよう である。 今年も山でアカヤシオが見れそうでひと安心する。そして、アカヤシオを愛でなが らの山歩きを思うとうきうきしてくる。
送電線の鉄塔近くに駐車スペースがあり、そこに車を停め、 身支度をして早速登り口を探す。葛生町方向に少し行くと左手に旧林道が分か れている。その右手にロープが垂れ下がっている踏み跡があった。
道路から1mほどロープを使うほどでない岩の道を上がり、右に行くと、 尾根の左を巻いている平坦な山道となる。上を見上げると、所々にピンクのア カヤシオが青空に光輝いている。左手の斜面にも咲いている。そのうち尾根の 鞍部に達し、右手に余りはっきりしない地蔵岳への道を分ける。我々は氷室神社方面へ 左手に入る。 この分岐の右手にもアカヤシオが梢越しに見える。車で眺めて想像していた より少ないようだ。どうも巻いてきたピークの南側に多く咲いているようである。
そのうちまた出てくるだろうと期待しながらまた、ピークの左側を巻きながら 進む。日溜りで落ち葉のクッションが心地よい。また、コナラの冬枯れの木立が美 しい。左手、遥か下にもアカヤシオが点在している。巻き道が終わると右下近くに 林道が来ている。そこを過ぎるとまたピークの左を巻くように登っていく。同じ ように日溜りのコナラの道である。暑くなってヤッケを脱ぐ。
やがて、桧林の暗い道となり、日陰になって涼しく気持ちが良い。 桧の道はすぐ終わり、笹の道となり、やがて見晴らしのきく桧の植林地を行くようになる。 この斜面をトラバース気味に登っていくと、尾根の肩に到達し右側に踏み跡の薄い椀名条 山への道を分ける。
ここからは尾根の北側を巻くようになる。今まで南側の日溜りの斜面を歩いて 暑いくらいであったが、今度は下から吹き上げてくる北風が冷たく寒い。ヤッ ケを着て早く通り抜けようと早足で行くと、しばらくして尾根の鞍部に達する。 左側を見ると祠があり、そこが氷室神社であった。
お賽銭をあげて拝んだ後 、分岐に戻り進んでいくと、すぐ、右に黒坂石への道を分ける。そこからほんの少しの ところにまた分岐があり、十二山方面の道標にしたがって右に行く。尾根の左を巻いて 行くとまた、鞍部で尾根に乗るようになる。そこから正面にピークが見えくる。そばに 行くと、十二山方面への山道がピークの右を巻くように続き、また、 薄い踏み跡もピークを目指して登っている。
ピークに登っている道の木には三滝方面 (沢コース)のビニールケースの標識がぶら下っている。このピークへの道を5分も 登ると三等三角点のある宝生山であった。頂上には手製の標識がぶら下っていた。
ガイドには「アカヤシオでピンクに着飾る」とあったが、アカヤシオは見当たら ない。良く見るとまだ蕾である。しかし、蕾のついている木も4,5本位である。 松肌のアカヤシオの木は沢山あるが、ほとんどは蕾をつけていない。どうも今年は不作 のようである。また、今年は花も遅れているようである。頂上でアカヤシオが見れなくて 残念であったが、登山口付近で見れただけでもよかつたと思う。
写真を写して、すぐ下る。ピークを下ったところで地元の3人のパーテイと会った。 熊鷹山への登り口が分らず、氷室山経由で登るために廻ってきたとのことであった。
峠発を12時と予定いるが、まだ余裕があるようなので、登山口のアカヤシオを よく見ることにした。地蔵岳への分岐付近で、左側のピークに登る踏み跡を登って いくと、車から見えたアカヤシオであろうか、南面の山肌に満開のアカヤシオが咲き 乱れている。写真を写したりし、十分満喫して登山口へと戻る。
登山口近くで右を振り返って見ると、今歩いてきた氷室神社や植林地の尾根がアカ ヤシオの梢越しに大きく競りあがって見える。何時までも見ていたい気持ちであったが、 振りきって車の置き場へと向う。
帰りは、ゆっくりと周りの景色を眺めながら葛生町方面へと下る。途中アカヤシオ の咲く崖も見られ、停まって写真を写したりする。下るにしたがって緑が濃くなり、 山桜や新緑が美しい。山里の民家の庭にも花桃、レンギョウ、ツツジなどの花が咲き乱れ、 また、滝があったり、再現された古代集落があったり、春爛漫の、なかなかすばらしい 下りの道であった。


(コースタイム)
サンレイク草木8:00−峠(P)9:05ー氷室神社
10:10〜15−宝生山10:25 〜35−氷室神社
10:45−峠(P)11:55

(地図・ガイド)
・1/50000 地形図 足尾
・ガイドブック 栃木の山120
(随想舎 宇都宮市材木町3−3 tel 028-633-0489)
・略図 左図

●追記
  • 林道大荷場木浦沢線は一般のロードマップには載っていないかもしれませんが、 上記の地形図には記載されています。
  • 地形図では氷室神社のあたりを氷室山とあるだけで宝生山の名前はありませんが、その先、 南側の1154.2mのピークが宝生山です。


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