A.山歩き/2.山紀行/・・飯盛山

飯盛山
ーー初秋の花を訪ねる静かな山旅ーー


飯盛山は八ヶ岳の前衛の山でハイキングコースとして紹介されていたので、 若い時から知っていたが、大したところでないだろうと思い、近くを通っても敬遠していた。 しかし、ある時、秋の花が豊富である、という飯盛山のチョとした記事を見て、 いつかは歩いてみょうと思うようになっていた。
丁度、お盆で、2番目の娘も休みであるので、一緒にどこか軽い ハイキングでもしょうと思い立つ。そこで、気になっていた飯盛山に行ってみ ることにした。
清里を通過して野辺山の鉄道最高地点で線路を渡り、すぐ保養所の手前の道を 左折する。高原野菜畑を行くと広い舗装道路に突き当たり、右にしし岩方面に登って いく。すると峠らしいところにでて、右側にしし岩の駐車スペースがあった。 霧雨が降ってきたが、そこに車を置いて歩き出す。
飯盛山への道は道路を横断して右に登っている。 歩き出してすぐに、ガスの切れ間から八ヶ岳が顔をのぞかせた。眼下には牧場も見えた。 なかなか展望のよいところで、これからの尾根歩きが楽しみと思っていた が、八ヶ岳が顔を出したのはその一瞬だけで、それ以降は雨は止んだものの展望 はほとんどきかなかった。
雑木林が切れて時々草原となる石のゴツゴツした道を緩やかに登っていく。 草原の道の両脇にはマツムシソウ、シモツケソウ、フウロウが多く、雨に濡れ てしっとりとしたフウロウのピンク色が印象的であった。 また、これから行く飯盛山の花の多さを予感させてくれる。
やがて、稜線に近くなるとカラマツ林と下生えが笹の道となる。道はぬかるみ、 笹の滴が散り、靴は泥んこになり、スパツの上のスボンまで濡れ、往生する。
しばらく行くと、スピーカーから音楽が聞こえてくる。 左下を見るとスキーリフトが上がってきている。リフトの鉄塔に取り付けられた スピーカーから音楽が流されていた。折角静かな山に来たと思ったのに興ざめである。
音楽を聴かされながら歩いて行くと、平沢山への分岐となった。平沢山への直進 コースは草深いようなので巻き道を行くことにする。巻き道は、今までの樹間の道から大きく明るく開け、 草原のお花畑であった。このお花畑が飯盛山まで尾根伝いに続いている。
トラノオ、クルマユリ、ワレモコウ、シモツケソウ、ハハコグサ、ツキミソウ、 マツムシソウ、オミナエシ、アザミ、ウツボグサ、ナデシコ、ギボシ、シシウド、 ハンショウズル、トモエシオガマなど、20種類位の花が咲き乱れていた。 一つの種類の花が群生しているのでなく、白、水色、黄色、ピンクなど色とりどりの花 が混じり、カラフルで見事なお花畑であった。
ピクニック気分のお花畑散歩である。これに、八ヶ岳が見えたら最高である が、あいにくガスって展望はきかない。途中1組の夫婦と会っただけの静かな尾根歩き であった。
飯盛山に着いたら親子3人連れに会ったが、我々はスパッなどを着け、重装備 しているのに、きれいなものである。清里方面から登って来たらしく、また清里の方に 下っていった。
頂上の東斜面はクルマユリが咲き、西斜面はツキミソウが咲くお花畑であった。 時々ガスが流れてきて幻想的な風景を呈していた。夏の終わりにこんなに花がある とは思わなかった。余り期待していなかっただけに驚きであった。
頂上でお花畑を眺めながら至福の時を過ごした後、清里方面に下った。尾根沿いの 下りも、今までに劣らず道の両側には花が咲き乱れていた。やがて正面にピークが見え、 その手前の鞍部を右に下って行く。このあたりからはカラマツや雑木林の中の道となる。 黙々と下ると右側に赤い屋根が見えてくる。
庭先には色とりどりの花が植えられている。そこはロッジ牧詩(ボッカ)であ った。ここで、しし岩方面に行く道をたずねた。 しし岩へはこのロッジの庭先の道を100m位真っ直ぐ北の方へ行って、 舗装道路に出て、それを右に道なりに行く、とのことであった。
この舗装道路はくねくね曲がっているせいか結構長いだらだら登りである。 あきあきしたころ平沢峠となって、しし岩の駐車場についた。
お盆休みなのに ほとんど人と会わず、花の山の穴場ではないかと思う。帰りは信州峠を越えて明野 村に寄り、コスモス畑を散策したり、高原野菜を買ったりして帰路についた。
(1997−8−15歩く)

(コースタイム)
自宅3:42−相模湖IC5:00−しし岩8:10−飯盛山9:30〜45 −ロッジ牧詩10:55−しし岩11:45

(地図)
・昭文社 山と高原地図 八ヶ岳・蓼科
・飯盛山略図