A.山歩き/2.山紀行/・・釜無山
釜無山

ーー原生林と中央アルプスを眺めながら歩く展望の尾根の道ーー


釜無山(2001-9-20歩く)
  今年は天候不順で、7月は空梅雨、9月に入ってからはカラッと晴れた日がほとんどない。 週間天気予報によると9月20日は久しぶりに晴れそうだ。ところが20日近くなると台風17号が関東地方に 接近するとのこと。しかし、勢力範囲が狭く、もしかしたら、富士見あたりには影響ないかも知れないと 入笠山の隣の釜無山に行くことにする。
自宅を5:10にたった。台風の影響か、相模湖ICあたり から笹子トンネルまでは雨降りである。トンネルを抜けると雨は止んだものの今にも雨が落ちてきそうである。 小淵沢IC7:50に降りて、20号線の富士見峠の交差点を左折して入笠山に向う。車窓をサルビヤや コスモスの花が流れてゆく。標高1000mの高原のせいかひときわ色鮮やかである。
林道をくねくねと高度をあげてゆくと、だんだん霧が濃くなり、視界が5mくらいしかきかなくなる。 この分では釜無山へ登っても視界もきかないだろうし、しょうがないな、と思いつつ行く。ところが大阿原湿原の駐車場 に着いてビックリした。予想に反して、この山地の南側は快晴であった。
台風のせいか車は一台もない。釜無方面の林道のゲートは半分以上開いていて、車でもっと奥まで 行けそうであるが、初めてのコースでもありコース調査も兼ねて歩いてゆくことにする。ゲート付近には 熊出没注意の看板があり、鈴をつけて出発する。林道の両側は林床が熊笹で覆われているカラマツ林である。
丁度、山は秋のキノコの季節である。カラマツ林にはイグチの仲間のハナイグチが生える。林道脇 の笹のきれているところを探しながら道草をして歩いてゆく。少し時期が遅かったようで、余りなかったが晩のおかず に両手一杯程度の収穫をした。その他のキノコも生えている。しかし、食べれるかどうか分からない。 後学のために、採取して帰ってから調べることにする。
30分ほど歩くと舗装が途切れ、砂利道となり、 左右に古い林道と山道が分かれている。ここから、林道の両側は原生林となる。林床が苔むしたシラビソの林、 林床が笹で覆われ見通しの良いシラビソ、シラカバ、ダケカンバの大木が茂げる斜面など雰囲気の良い ところを眺めながら行く。
やがてまた古びた林道や山道の分かれたところになり、林道は今度はカラマツ林の斜面を横断しながら 左にカーブしている。右側の斜面から左の谷側へ2ヶ所ほど沢の水が音を立てながら流れ下っている。 カーブし終わると前方遠くに林道のゲートが見える。地図によるとその付近で林道が二又に分かれ左側の 林道から山道が伸びていることになっている。近づくとゲートの右側の草地に「釜無山登山口」の道標 というより看板に近い標識が見える。
初めての山なので登山口が見つかって一安心する。しかし、地形図と だいぶイメージが違う。地図では右に入っている林道がメインで、左側は道幅の狭い道となっている。現実は 左側のゲートの見えた林道が広くまっすぐ伸びており、右側の林道は古びてしかも右に90度曲がって入ってい っているいる。全く逆転している。
山道はしばらくカラマツ林の中を林道に沿って伸びている。道は笹も刈り払われはっきりしている。 この分だと山道も山頂まではっきりしているのではないかと想像する。少し行くと右に曲がり林道と離 れ、笹とカラマツ林の薄暗い中を登ってゆく。初めての山らしい登りであるが見通しはきかない。
10分も登るとダケカンバの若木が現れ、前方が明るくなる。登りは終わり、ピークを巻くように 左に曲がる。右側が開けて日差しが暑い。右手は谷となって、その向かいにピークのはっきりしない釜無山 が横たわっている。前方を見ると尾根が左から釜無山へと続いている。そして右手の谷の源流がその尾根に 上っている。しばらく気持ちの良いアキアカネだろうかトンボの飛び交う平坦な道を行く。そうすると、更に左側も開け、明る い笹の原にでる。 笹の原からは右手に遠く青い山並が見える。方向からして中央アルプスのようである。
道はやがてシラビソの林を登って行き、すぐ尾根に乗り、尾根伝いに右に行く。釜無山のハイライトはこの 尾根の道である。左手はカラマツ、シラビソの混じる樹林帯であるが、右手は小さい笹の草地で見晴らしがよく 気持ちの良いところである。右手すぐ近くには2088mのピークとアンテナ塔の立つピークが見え、その 左に中央アルプスの山並がパノラマ状に雲海の上に浮かんでいる。更に前方にはこれから登る濃い緑の木々 で覆われたなだらかな釜無山が見える。
しばらく尾根歩きを楽しみながら行くと笹の茂るカラマツ林の登りに差しかかる。10分も登ると 大きな石のごろごろした薄暗いシラビソ林になり、頂上らしい標石がある。更にその奥に行くと石を囲炉裏 状にかこんだところに支柱が立っている最高点らしいところに達する。支柱には何かあったらしいがなく なっていて頂上かどうか分からない。ここから先は下っている。地形図を見ると最高点らしいところに 三角点がある。頂上はここかなと思案していると、下から人の声がした。地元の女性三人であった。何か ガイドを読んできたようで、頂上らしくないところに山頂がある、と云って先へ下っていった。
我々も念のため少ししてから下っていった。2,3分も下ると笹の原が明るく大きく開け、その 中の木立に釜無山の標識があった。また、その足元近くに三角点が確かにあった。広々としてよいところ であるが、笹が深く、道以外は身動き取れない。本当に頂上らしくない変な山頂である。
これでは休みも取れないので、見晴らしの良い尾根に下って昼食とした。そして、その後、のんびり とまた長い林道を暑い日差しの中を下って山歩きを終えた。 
この後、入笠湿原まで車で行ってみた。林道の両側はノコンギク、アキノキリンソウ、白いヒヨドリソウ みたいな花が花盛りである。また、スキー場のお花畑ではもうヤナギランがススキのような白い穂をつけて 逆光に輝いていた。湿原は草紅葉で色付きはじめ、白樺の白い幹とのコントラストが美しかった。

(コースタイム)
自宅5:50−大阿原湿原(P)8:30〜8:45−釜無山登山口9:55− 釜無山11:05〜20−尾根11:37〜12:00−登山口12:20〜25− 大阿原湿原(P)13:25

(地図・ガイド)
・1/25000地形図 信濃富士見
・略図 下記


●追記
A-2[山紀行]へ戻る