A.山歩き/3.山紀行/・・乾徳山
乾徳山

ーーお花畑、岩場ありで変化のある山歩きーー

登山口である徳和の山登旅館の前に立派な駐車場が出来ていた。 地元の人に聞いたところ自由に駐車してよいとのことで、停めさせてもらう。 乾徳山方面の道標にしたがって徳和川沿いの道を登っていく。 民家も切れて林道となり、ヘアーピンカーブを上がり、 さらに行くと乾徳山登山口の道標が右側にあった。
道標にしたがって薄暗い杉林の山道に入り、ひと登りすると伐採地 となって明るく開け、 そこを登り切ると林道と交わる。そこには銀晶水まで10分とあった。 名前からしてさぞかしおいしい水が流れているものと期待しながら登るが、 水場は杉林の中からほんのチョロチョロ流れているだけで飲めそうにない。 期待外れであった。
それからしばらく登ると赤松、カラマツの混じった林の中の道になり、 アミタケの一種であるが名前の分からないキノコが群生している。 時々、食べられる真っ赤なタマゴダケも生えており、晩のおかずにキノコ狩 りをしながら登る。
だんだん松が減ってカラマツ林の登りとなり、駒止めというところに出た。 そこから、石のゴロゴロした雑木林の道から下草が笹のカラマツ林の中の道に 変り、シモツケソウが増え、数は少ないがフシグロセンノウの 朱色が目立つようになる。
やがてカラマツ林のダラダラした上りの道を登って行くと、水のせせらぎのよ うな音がするようになる。 こんなところに沢があるとも思えないが、しばらく行くと明るく開け、 小屋らしきものが見え、塩ビのパイプからおいしそうな水が勢いよく流れている。 錦晶水という水場である。冷たい水で汗を流し、喉をうろおし一休みする。
そこから平坦な道で国師ケ原へ向かう。途中、シモツケソウが群生しており、 トラノオも見える。だんだん草原らしくなりカラマツ林を抜けるとパッと開け、 草原に着いた。
これから登る乾徳山と扇平への道が草原の斜面を登っているのが見える。 周りはシモツケソウ、トラノオ、アザミ、ギボシ、ウツボグサ、 少しはやいがヤナギランが咲いているお花畑である。 少し行くと国師ケ原の道標があり、ヒュッテ、扇平、大平牧場方面の分岐になっ ている。
そこから扇平方面へ登る。 最初のうちは樹林の中であったが、そのうち両側が草原で、炎天下のザレの急坂の道 となり、あえぎあえぎ登る。両側の草原はギボシの群落で、シモツケソウ、アザミ、 トラノオが混じる。時々お花畑の上を渡る風が疲れた体に心地よい。 ようやく扇平に着いた。あいにく雲が多く富士山は見えない。 これより1時間の岩の登りが待っているので十分休んで出発する。
ダケカンバなどの樹林の石の多い道をしばらく行くと、コメツガの木が増え、 大きな岩も増えてくる。いよいよ岩の登りとなる。
最初小さな鎖場が1ケ所あり、 難なく越える。しばらく行くと鎖が連続して2ケ所ついたところなったが、 鎖を使わなくても容易に登ることが出来た。次に展望のよいトラバースして登る 大きな岩場が現れ、鎖がついていると思ったがついていない。しかし、足場がよく 快適に越えられた。 ここを過ぎると岩場も少なくなり、間もなく樹木の無い左側が切れこんだ断崖沿い の石の多い道となり、前方に乾徳山の頂上の岩場が見えてくる。
やがて高さ20mほどの天狗岩の鎖場にたどり着いた。 家内はザックを置いて登ることにした。一枚岩に近い鎖場であるがクラックの溝 を足場にして、鎖をたよりに登る。
先に中年の夫婦が休んでいた。 遮るものはないが、生憎雲が多く遠くの山々は見えない。頂上には小さい祠があり, その傍に丈の低い乾徳山の標識があった。そこで写真を写したり、 ジュースを飲んだりし、一休みする。ザックを下に置いてあるので、昼食は 岩場の下ですることにして、また岩場を下る。
ところが、雨がポッポッ落 ちてきた。まだ、12時まで30分ほどある。下の方なら雨が降っていないだろ うということで、扇平まで下ることにする。下るにしたがって雨はだんだん本降り となってきたが、樹林の中であったので余り濡れることは無く幸いだった。 結局、扇平に出る手前の木の下で雨宿りしながらすばやく昼食をとる。
昼食を食べているうちに運良く雨が上がり、扇平のお花畑をじっくり愛でながら 道満尾根に向かった。この道は扇平のお花畑を横断しており、ギボシ、トラノオ、 ヤナギラン、クルマユリ、など花が多い。やがて道は雑木林に入る。 後を振り向くと、ガスにかすむお花畑や乾徳山が見え、名残惜しい。
展望の無い雑木林の中をしばらく行くと右側が草原となって開けてきた。 眼下に車が見える。どうやって入ってきたのか分からなかったが後で 下っていって大平牧場から林道沿いに上がってきたことが分かった。
草原に咲いている花は少なかったが、蕾のマツムシソウ、ワレモコウ、オミナエシ 、 等が多く、初秋にはお花畑になると思われる。この草原を下って、 また雑木林に入って下ると林道に突き当たる。林道を左の大平牧場方面に向かう。 少し行くと、赤テープの印のある林道をバイパスする山道入口となり、そこを下る。
何回か林道をバイパスすると左は林道で大平牧場方面に向い、 右は徳和方面に道満尾根を下る山道の分岐となった。そこを徳和方面に下る。 また雨が落ちてきて、雷もしだした。
しばらく行くと、木の間にカードレールが見えて来た。もう、そろそろ徳和かなと 思ったが道はガードレールから離れ、また、雑木林の中を下るようになる。 ようやく平坦になって道標にたどり着いた。道満山とある。地図を見るとまだまだ 徳和まではあるようだ。雨のなかを黙々と下る。
だいぶ行くと、左はるか下に街並みが見えてくる。あそこまで下るのならだい ぶありそうだが、徳和は右方向でもっと標高が高いところにあるはずである、 と思いながら下る。
やがて、雨もあがり、下りの傾斜もきつくなり、どんどん高度を下げてゆく。 平坦部に達すると、ようやく右に下る道になった。 ここが徳和峠らしい。
溝状にえぐられた赤土の道を足元に注意しながら下ると 徳和の町の屋根や畑が見えてくる。やがて、コンクリートの坂を下ると徳和バス停方面 の道標があり、大きなお寺の横を通って、朝出発した駐車場に着いた。
結構、アプローチが長く、くたびれた山歩きであった。 しかし、岩場あり、お花畑あり、それに曇って見えなかったが富士山も見えるらしく、 なかなか変化のあるいい山である。今度は春ツツジの咲く頃来たいと思う。(1996-8-1歩く)

(コースタイム)
自宅4:16−相模湖IC5:35−徳和7:00〜10−銀晶水8:10− 錦晶水9:10−扇平10:13〜25−雨乞岩11:05−乾徳山11:20〜30− 扇平12:10〜35−道満山14:06−徳和15:10 

(地図)
・昭文社 山と高原地図 奥秩父2
・1/25000地形図 川浦

●追記

  1. 1999年に大平牧場から扇平まで登っていますので、追って掲載します。
  2. コースタイムは、大平牧場から道満尾根の徳和分岐まで1時間、そこから扇平まで1時間 です。徳和からのコースに比べ約1時間上りだけで短縮されます。
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