北八ッ・池めぐり

ーー明るくひっそりと山に囲まれ静かにたたずむ北八ツの池を巡るーー


大河原峠から双子池・亀甲池を巡る(2000-9-21歩く)
  学校の夏休みが終わって蓼科高原が静かになった頃、秋を求めて大河原峠 を基点に双子池・亀甲池を巡るのが恒例になっていた。今年は何時までも暑く、しかも雷雨とかで天気 が何時までも安定しない。ようやく9月の中旬になって秋晴れとなり、恒例の池めぐりをすることにした。
自宅を4:45にたって、大河原峠に9時頃着いた。今日は快晴である。大河原峠から北側を見ると 湯の丸など浅間の山々が雲海に浮んで見える。遥か左には北アルプスであろうか荒々しい山肌の山が 連なって見える。大河原峠に車を置いて出発するが、何時の間にか立派なトイレができている。 そういえば来る途中、蓼科山の登山口にもトイレができていた。最近、山のトイレ問題が話題になっ ているが、登山口だけでもこのように整備されると有り難い。
山道はトイレの脇から登っており、 道の両側にはロープが張られ、草地に立ち入らないようにされていた。大きな石がごろごろした道を 登ってゆくと、今年は暑いとはいえ季節は進み、両側の草地にはマツムシソウが見えるが、既に花が 終わり、少し残り花があるだけである。上を見ると山頂らしきところにシラビソの森が見える。
登りきってみると、また草地の先に樹林が見える。それを越えても同様の草地の登りであるが、 右を見ると蓼科山がだんだん競りあがってくる。さらに疎らな樹林帯を過ぎるとすぐ目の前に、双子山 にしては少し早いなと感じたが山頂らしい四角柱の標識が立っている。近づいてみると、今までもう一 つ奥の道標が双子山と思っていたが、そこには新しい双子山の標識があった。そして佐久市最高地点とある。
双子山には何回となく来ているが、今日は今までで最高の天気である。右に蓼科山、その左に中央ア ルプスの山々、左斜め前を見ると特徴のあるテーブル状の荒船山、左を見ると湯の丸など浅間の山々が 望まれる。これらの景色は北八ッらしい明るく開放的な草原の向こうに展開している。何時までもながめて いたい気持ちであるが、カメラに記憶を残して出発する。
少し行くと見覚えのある双子池・大河原峠の方向を指している道標が立っている。そこにはベンチまである。 正面遠くには荒船山が見え、山道はシラビソの林の中に下って入っていっている。シラビソの道を下ってゆくと 途中平坦となり雰囲気の良いシラビソの原生林となる。林床には世代交代の若木が茂り、もう後継の準備が できているようである。
やがて下生えが笹のカラマツ林を下って行くようになる。しばらく下ると双子池のヒュッテの屋根が見 えてきて、間もなく双子池に到着する。ヒュッテの前のベンチに腰掛け雄池をゆったりと眺める。 周囲の山々に囲まれた池はさざなみを立ててキラキラと輝き、山の青を写しこんで静かにたたずんでいる。
一休みの後雌池へ向う。樹林の右岸を廻り込み、野営場のある西岸に立つと視界が開けてくる。 池の対岸を見ると、大岳からの尾根が右から緩やかにヒュツテのある鞍部にまで落ち込み、そこからカラマツ林 の尾根が左にあがっている。空は尾根の輪郭により緩やかにV字状に開け、雌池は山上の池の雰囲気を漂わせて いる。
これより亀甲池へ大石のゴロゴロした倒木の多い苔むした薄暗い道を登ってゆく。 苔むした倒木の上にはゴゼンタチバナがいっぱい赤い実をつけ、木洩れ日に輝いている。しばらく登って行くと 双子池・亀甲池方面の道標が立っている。そこから下りとなり、やはり薄暗いシラビソの林の 中を下ってゆく。やがて前方が明るくなって亀甲池に達する。
例年、水が少なくゴロゴロと石が露出していることが多いが、今年は雨が多かったので、池の周りの 通常の道は通れず、笹の中に新たに道がつけられている。もう、昼であるので池を眺めながら傍の大きな岩で昼食 を取ることにする。亀甲池は周囲が急峻な山に囲まれ、奥深くひっそりと落ち着いたたたずまいをみせている。
一休みした後、笹を切り開いた樹林帯の道に入ってゆく。笹の道は僅かで終わり、明るく開けた草原 となり、蓼科山と前掛山が正面に見える。草原にはマルタケブキ、シシウド、タムラソウなどの花が咲いたようだが既に終わって、道端には シラタマの実だけが白く秋の日差しで輝いている。道はほとんど平坦で、やがてカラマツ林に入ってゆく。 カラマツ林を抜けると前掛山の尾根が正面に横たわり、前方に涸れた沢の河原が見えてくる。この河原を わたるとすぐこじんまりした湿源状の天祥寺平である。ここはT字路となっていて、左は竜源橋方面で右は大河原峠である。
ここを右に折れて大河原峠へと向う。最初、石のゴロゴロしたシラビソの道であるが、そのうち笹の原を登ってゆく。 振り返ると横岳から双子池へ伸びる尾根が見渡せられる。左側は笹の原にカラマツの茂る斜面の向こうに 前掛山からの尾根が峠の方へと伸びている。
この道は平坦のようであるが緩やかに登っている。最後の登りであることと、長くしかも日差しを遮るものがなく 暑く結構きついところである。そろそろくたびれてきた頃、少し勾配がきつくなり、これをあえぎあえぎ 登りきるとマツムシソウやリンドウの花が咲き、岩が点在する庭園風のさわやかな草原となる。いつもこの草原で一休みする。 今回も一休みした後、草原から5分ほど歩いて大河原峠に到着し池巡りを終えた。

(コースタイム)
自宅4:45-相模湖IC5:54−茅野IC7:30−大河原峠(P)9:05−双子山9:25〜35− 双子池10:10〜40−亀甲池11:25〜50−天祥寺平12:30− 大河原峠(P)13:30


坪庭から林道大石川線を経て双子池・雨池を巡る−ミニガイド−(1998-9-5歩く)
  いつも双子池、亀甲池めぐりはしているが、雨池へ行っていない。ピラタスロープウエイで 坪庭まで上がって雨池に行くことにするが、このとき通る林道大石川線は双子池まで通じている。どういうところか 行ってみた。このときはどういうわけか記録を取らずじまいで、以下、記憶をたよりに記述する。
8:30発のロープウエイに乗る。坪庭に着いて縞枯山荘の方に向う。坪庭の山荘の方の草原はお花畑となっているのかと 思って期待して歩いていくが、青紫のリンドウの花がどういうわけか、つぼみのまま開かないで褐色になっ ているのが多く見うけられる。道は木道となって整備され歩きやすい。しばらく行くと周囲がシラビソの茂る山に抱かれ、 麦草のようなイワノガリヤスの草原に立つ縞枯山荘が見えてくる。ここを過ぎると雨池峠となり、もう麦草峠から縞枯山 を越えてきたという単独行者と会う。
ここから大石川林道まで下りである。大きな石のゴロゴロ道で、平らなところがなく歩きずらい。時々、ゴセンタチバナ の赤い実が見える。しばらく行くと樹林帯に入り、やがて林道に降り立つ。
雨池には帰り寄るとして、左に向う。林道はほとんど平坦でただ黙々と歩くだけである。 左側の斜面は石のゴロゴロした斜面でシラビソやダケカンバの若木の生えているところが多い。 右を見ると遥か下はなべ底のような広々とした湿原のようになっていて、ところどころに針葉樹が茂っている。 地形からするとこの湿原のようなところにたまった水は雨池へ流れこんでいるようである。
道端にはリンドウの花が咲いていたり、ザレ状の道であるためかコケモモやシラタマノキが結構生えている。 そのうち左の斜面の岩が崩れて林道が大きな岩で覆われているところにでる。長さ10〜20mくらいはあるだろうか 。だいぶ前に崩れたようで人が歩いた跡がある。それでも万が一を考え早足で岩を越えて通過する。 ここを過ぎるとカラマツで覆われた尾根が見えてきて、間もなくカラマツ林に入ってゆき左へ双子池に下る 分岐点となる。双子池に下ってまだ早いが昼食をとって、また元来た道を引き返す。
雨池峠入口まで引き返して、雨池の方へ林道を歩いてゆく。10分も歩くと雨池入口となり、今度は 薄暗いシラビソの林の道を下ってゆく。5,6分もすると樹間から雨池が見えてきて到着する。 この時は水が少なく、池は浅く平らなお盆のようで、だいぶ池の底のゴロゴロ石が露出している。雨 池は近くに迫る山がなく、森の中にぽっかりと明るく開放された静かな池の雰囲気である。しかし、水が少なく 雨池の本当の良さが出ていないようである。池の河原でゆっくりと残った果物などを食べながら池を眺めて 今の至福をあらためて実感し池めぐりの山歩きを終えた。

(コースタイム)
自宅4:35−茅野IC7:34−ピラタスロープウエイ8:10〜20−坪庭8:30−縞枯山荘8:40− 林道9:20−双子池入口10:32−双子池10:45〜11:06−雨池峠入口12:34− 雨池12:50〜13:15−ピラタスロープウエイ山頂駅14:22

●追記
  • 大石川林道の双子池〜雨池入口間の崩壊個所は落石が多く現在通行止めとなっているかも知れませんので、町役場等に 確認してから通るようにして下さい。
  • 大石川林道が通れると坪庭、横岳、亀甲池、双子池、雨池、坪庭の周回コースも可能です。

    (地図)
    ・昭文社 山と高原地図 八ヶ岳・蓼科
    ・略図 下記


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