A.山歩き/2.山紀行/・・小白森
小白森
--秋田県乳頭温泉郷--




ーブナの新緑を愛でながら山上の花園ヒナザクラ咲き乱れる湿原へ登るー

小白森(03-05-29歩く)
春には実家の秋田に帰ることにしている。いつも角館の桜、西木村のカタクリ、刺巻のミズバショウ 等の写真を写すことも考えて桜の咲く頃である。しかし、今年は帰るのが都合により1ヶ月ほど遅れてしまった。 5/下旬となるとやはり山に行かないと被写体はない。そんなことも考えてブナの新緑を写してみょうと 小白森(こしろもり、地元ではこじろもり)へ登ることにした。
実家から車で1時間半位で乳頭温泉郷の鶴の湯についた。鶴の湯の駐車場に車を置かせてもらい 駐車場の左隅の小白森、大白森への山道を上がって行く。道は鶴の湯神社の脇を通り、ブナ林の平坦な 気持ちの良い道を行く。4,5分も歩くと右に蟹場へ下っている階段の道を見送ると直ぐ林道に 降りる。林道を右に道なりに行く。コナラ、ミズナラなどの新緑が心地よい。また7,8分も行くと 左側に大白森への道標がある。そこへ入って行くが、そばで地元の人二人が看板を立てている。 なんの看板か覗いてみると「熊出没注意」であった。最初から驚きの歓迎である。
余りはっきりしない薄暗い雑木林の斜面をジグザグと急登する。予想に反して悪い道であるので 先行き不安になる。しかし、直ぐ広い林道みたいな道に踊り出た。これで一安心である。 どうも薄暗い道はバイバス道であったようである。しかし、道標はないので、帰りのために 赤いテープが垂れ下がっていたことをしっかりと確認しておく。
ここを右に行く。最初は杉林であったがブナが現れ、ウワズミザクラの花やタムシバの白い花も 見うけられるようになる。そしてカラマツ林の中を登って行く。ハルゼミが鳴いている。この声を聞くと 今年も初夏の山へこれた幸せを感じる。
大体1時間も歩くと突然開け、前面に土肌を少し出している山が迫って見える。 小白森の湿原はあの山の上にあるのだろうか、もうひと登りと元気が出てくる。山道は直ぐ右の林を登 って行く。ジグザグを繰り返し高度を上げると視界が開けてきて、振り返ると秋田駒ケ岳が バッチリと見える。秋田駒を眺めながら7,8分も登るとやがて水場となる。水は極めて細く、夏場にはか れそうである。ここで水筒に補給して、のどを潤して一休みする。
下の開けたところから10分程で登りきり平坦なって前面が大きく開けた。しかし、その風景は 予想に反し、尾根の向こうにまた山があるものであった。少しガッカリしたが気を取り直して両側が根曲がり 竹の切開かれた道を行く。 途中でタケノコ採りと出会う。まだ早く収穫は極めて少ないようであった。
道端をよ〜く見るとたまに タケノコが生えている。帰り採ることにして生えている場所だけの確認をしながら歩いて行く。 緩やかな登りの尾根道を20分も行くと急斜面のブナ林の道になる。結構きつい登りであるが、ブナの新緑に引っぱられるように登る。 10分ほど登るとようやく道標の立つ「蟹場分岐」となる。
この辺から残雪が多い。 ブナの木の周りの雪が解けた丸い穴の風景もある。道の真中にショウジョウバカマが結構咲いている。 また、青いキクザキイチリンソウも咲いている。しばらく緩やかに下って行くと鞍部となり ブナの林を一直線に山道が上に登っている。まるでブナは街路樹のように山道に沿って林立している。 そして山道は何もない空間へと消えていっている。
ようやく山上の楽園、湿原にたどり着いたようだ。元気を出して 1歩1歩登ると大きく開け今度はみあたすかぎりの平坦な潅木の茂る原野である。 その中を木道が真っ直ぐ伸びている。開放的な気分になり、足も軽やかになる。
左手の潅木と笹の原が開け、 湿原が広がっている。そして小白森の道標がたっている。まだまだ木道が続いているので終点まで 行ってみることにする。
5分ほど行くと木道はなくなり、大白森の鞍部へと道は下っている。今日はここまでとして、とりあえ ず木道を引き返して木陰を探して昼食とした。
木道のそばにはブルーの鮮やかなシラネアオイ、ピンクのイワナシが咲いている。湿原に戻って 見てみると湿原一面小さな白い花(家に帰って調べてヒナザクラと判明)で覆われている。その中にピンクのショウジョウバカマが点在している。 誰もいない山上の花園、写真を写しながら至福の時を過ごす。
帰りはブナの新緑の写真を写したり、根曲がりだけのタケノコを探しながら楽しく下った。 鶴の湯に戻ったところ「終了しました」との看板が立っていた。日帰り入浴時間は15:00で終わりであ った。一風呂浴びるのをお預けにし、冷たい沢水で汗を拭い実家へと山を下った。

(コースタイム)
鶴の湯10:15−前面に山迫る開けた場所11:20−尾根11:33−ブナ林入口11:57 −「蟹場分岐」12:12−ブナの林立する道入口12:29−小白森12:42〜13:10−鶴の湯15:25

(地図およびガイド)
・1/50000 地形図 雫石
・ガイド 東北の山-特選コース-(山渓アルペンガイド1996-7改訂)


鶴の湯


秋田駒ケ岳

●追記
東京方面から行って乳頭温泉郷付近の山に登る場合は、「蟹場」に宿泊すると、そこを基点に大白森と乳頭山 に登れます。秋田駒へは、田沢湖高原駒草荘前に車を置いてバスで秋田駒八合目まで行き、秋田駒を往復すると良い と思います。また、車が二台ある場合は秋田駒から乳頭山、蟹場と縦走できます。
なお、秋田駒の8合目まで交通規制があります。7月〜8月の毎日、4月から6月の土日は自家用車で八合目まで行けないこと になっています。念のため確認ください。