A.山歩き/2.山紀行/・・三国山
三国山
ーー山中湖の上の三国山ーー

東登山口から霧に浮かぶ新緑のブナの巨木を仰ぎ見ながら尾根道をゆく



三国山(2002-5-13歩く)
今日は山中湖の上の三国峠付近の 山岳道路から山の樹木の花の女王ホオノキの花の写真を写すつもりで出かけた。ホオノキの花は木の樹冠 に上向きに付くために下からは見えない。斜面を横断している道路からだと下の斜面のホオノキの 花が見える。昨年の今ごろ、鉄砲の木ノ頭に登った帰り、駿河小山から三国峠を越えて山中湖へ下 る道路の明神峠側に咲いているところを確認しての再訪である。ところがいくら探しても咲いてい ない。何か1年おきとかサイクルがあるのか今年は不作のようである。
それでは三国山のブナで も写そうかと思うが、三国峠からは何回も登っている。また歩いていない明神峠の方の東登山口か ら登ることにする。この登山口は駿河小山山中湖道路の明神峠を過ぎて、神奈川県の標識が立って いるところにあり、三国山から湯船山への縦走路が道路を横断している。ここには車2台ほど置くスペ ースがある。
そこに車を置いて歩き出す。登り口には道標が立っていて三国山1.5kmとある。 突然の山歩 きで、地図もガイドも持ってきていない。しかし、何回も三国峠や篭坂峠から大洞山、三国山には 登っており、地形は頭に入っている。道も尾根道一本で、1.5kmだと大体1時間もあれば行ける はずと、判断して山道に入る。すぐ道が二本に分かれている。道標は右側を指しているので、右の 少し潅木の茂る道を上がって行く。今日はガスってほとんど視界が効かないが、この尾根道は樹林帯の道 であるので特に気にならない。むしろ霧が樹林の中を流れ、幻想的でいい雰囲気である。
しばらく登るとブナの大木が現れる。次から次へと現れる。ブナに近ずいて 上を仰ぐと、ブナの独特の模様をした太い太い幹が霧の中に伸び、幻想的にかすんだブナの新緑の枝が 天を高々と覆っている。また周囲を見渡すと巨大な幹が霧の中にシルエットをつくり、山の主のような 姿である。実は、この東尾根は余り期待していなかったので、最初から度肝をぬかれる思いであった。 確かではないが10本ほどはあったように思う。
この巨木の道を過ぎると、樹林帯がパッと開ける。 不自然な開け方である。よく見ると左奥に送電線の鉄塔が立っている。そのために伐採されたようだ。 しかし、もう潅木が茂り、見晴は良くない。足元をみるとカエデの若木が日光を受けて早く伸びよ うと若葉を一杯に広げている。2,3分も登るとまた樹林帯に入る。
今度は潅木の中にブナの 木が混じる道を登って行く。やがてまたブナの大木が多いところとなり、ブナの倒木の幹から4本も 大きな幹が連なって立ち上がって自然のオブジエのようである。倒れても地面に根を這わせ生きているその 生命力には驚かされる。また、山道を覆うようにコバイケイソウも茂っている。
これを過ぎると、尾根はやや狭くなり、左斜面は桧の多いところとなる。 下から吹き上げてくる風が強くなり、寒いくらいである。同じような尾根の登りの道であるがいつのまに か桧はなくなり、ブナの若い木が多くなってくる。さぞかし数十年後には壮観な美林になるだろうと想像 させられる。
やがて尾根もやや広くなってきて、高度を上げてくると、ブナの巨木が多くなり、ミツバツツジも 樹間を彩っている。もう散ったものもあり、時期としては少し遅いようである。また、林床にはツクバネソウが シンメトリックな形をして咲いている。さらにエンレイソウ、ユキササも花をつけている。
ブナの巨木の写真を写したり観察しながら登ってゆくと、やがて平坦になり道標がたっている。道標は 三国山頂の方向を指している。心もち下るように行くと、見覚えのある広い三角点の立つ三国山頂に 至った。山頂広場は、周りの木々が霧でかすみ、幻想的なベールで覆われ時間がとまっているような空間 だった。
小休止した後、元の道を引き返した。 帰りは下り一方である。気持ちにも余裕が出て、ブナの写真を念入りに写しながら下って行く。登りでは道端のブナの 木しか見ていなかったが、山道の両側の奥に結構太い巨木が立っている。潅木を掻き分けて、近くまで行って、 じっくり眺め、仰ぎ見て、そして写真を撮っので、登りより余計に時間がかかった。
ホオノキの花がなかったのが幸いして思わぬすばらしいブナの巨木に出会えた。季節の移ろい とともにどんな姿をしているか、また、会いに来ようと思う。

(コースタイム)
東登山口(P)12:42−三国山13:45〜50−東登山口(P)15:05
このコースタイムは写真を撮りながらですから極めて遅いタイムです。

(地図)
・1/50000 地形図 山中湖
・略図 下記



●追記
  • 東登山口には2台ほどの駐車スペースがあります。また、三国峠寄りに50m位いったところ右側にも
       2台ほどの駐車スペースがあります。
  • この東登山口のてまえの道路は狭くて、対向車とのすれ違いが難しかったのですが、丁度拡張工事が
       終わったところでした。

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