A.山歩き/3.山紀行/・・三つ峠山
三つ峠山

ーー富士山展望の三つ峠山と紅葉の尾根を周回するーー


御坂トンネルの手前を右折して林道をしばらく行くと、旧御坂トンネルの道を 左に分け、やがて 三ッ峠への登山口となる。 そこは清八峠方面、三つ峠山荘方面、河口湖方面等、3方向への林道の分岐点 となっており、駐車スペースも結構ある。
今日は、ここに車を置いて三つ峠から清八峠近くまで縦走して左の 清八峠方面からの 林道を戻ってくる周回コースを歩くことにする。
三つ峠山荘まで林道が上っていて、それを登ってもよいが、 近道の樹間の直登コースをとることにする。しかし、昨日の大雨で草や木が濡れ ており、レインウエァーのズボンを履いたが靴や顔は濡れる。
5分も登ると若いカラマツ林の中を登るようになる。そこには 思いがけなくハナイグチが顔を出している。今晩のおかずにと家内と夢中に なってキノコ取りをする。ヤブに突っ込みさらにびしょ濡れになり、頭はカッパの ようになった。しかし、今晩のおかず位はとれ、思わぬ収穫であった。
この直登コースは途中から林道にでた。富士山を写すのであろう三脚 を背負った二人組みの男性は、林道経由で同時に出発したのに、もう大分先を歩 いている。道草をしたために遅れをとってしまったようだ。
林道は途中右手が開けたところもあるが、ほとんど展望のきかないカラマツや モミの樹間をジグザク迂回しながら登って行く。
やがて勾配が緩やかになると右手に草原が見えて来た。 もうすっかり花は終わっているが、紅葉しつつある草原の上にドライフラワーが 点々と立っており、最盛期のお花畑の華やかさを想像させる。
やがて左に四季楽園への分岐となる。昨年も木無山からの富士山を眺めたし、 今回は四季楽園の方にしょうかと思ったが、木無山からの富士山の展望が忘れられず 、木無山の方へ引き込まれる。
木無山の展望台に着いたところ、カメラを持った中年の夫婦がいた。 生憎富士山はガスで見えないが、天気は良くなる方向であるので、しばらく休みながら 中年の夫婦と一緒にガスの晴れるのを待つことにする。
しかし、いっこうに晴れない。今日は清八峠方面経由の周回コースを行くので出発す ることにした。
三つ峠山荘の前を通りかかると黒い犬がつながれており、吠えられた。 家内は犬好きなので吠えられることはめったにないのに吠えられた。 どうもこの犬は山荘の前を通った人に必ず挨拶するらしい。
四季楽園まで行くと登山口で一緒に出発した男性の2人連れが展望台 で三脚を構えていた。しかし、相変わらず富士山はガスの中であった。
やがて三つ峠の急登へさしかかる。ナナカマドの実が真っ赤に色付き、秋を感 じさせる。一方、マツムシソウがポッンと咲いており、去りゆく晩夏の寂しさ をも感じさせる。
山頂に着いたが富士山は見えない。三つ峠の石碑をバックに家内とオート で写真を写す。遠くで犬の吠える声がする。しばらくすると木無山で一緒だった 夫婦が登って来た。やはり山荘の犬にご挨拶されたらしい。
頂上も十分満喫したので清八峠方面へと出発した。 まずは向うにアンテナが見える御巣鷹山へ向かう。途中左に 広い林道を見送って 右へ向かうと、やがて樹林が切れて御巣鷹山の アンテナが正面に望まれる開けた草原に出る。 ほとんど花は終わっていて、ワレモコウがところどころに見える程度である。
御巣鷹山へアンテナの建設とメンテナンスのための林道を霧にかすむ真っ赤な ナナカマドの実を眺めながら登る。頂上には人工物のアンテナ塔があり、 山のピークへ登ったという気分にならず、すぐ下ることにした。
そこからは今までの雰囲気と打って変わって本格的な山道となり、 山深く静かである。しかも急勾配の道の下降となった。
この辺は三つ峠山塊では開運山に次いで標高の高いところで、木々は既に紅葉して おり、落葉も大分している。急降下であるために足元に注意しながら枝につかまっ ての下りで、紅葉を愛でる余裕もないほどである。
ひと下りすると平坦なモミの木の中を行くようになる。 それからは、急降下してはまた平坦、を繰り返す。
御巣鷹山の最後の下りは大雨で道がえぐられ非常に荒れており、この縦走路では 最もひどい悪路であった。足元に気を付けながら慎重に下ると今度は大きな岩が 露出したところとなる。ここを滑らないように降りると下りも終りとなる。
そのまままっすぐ行く踏跡があり、そちらに引き込まれそうであるが 清八峠方面の道標にしたがって右に直角に折れる。 そこからは左に谷をみながらの巻き道で、 足元に気を付けなくても良い平坦な雑木林の中の道でホッとする。
いつのまにかブナの大木が多く見られる道となる。ブナの大木の下生えが低いた めに樹間の見通しがよく、起伏の輪郭がはっきりし、いつかどこかで歩いたような懐かしい 感じのする道であった。 ブナの道は登りとなり道端にはオヤマボクチが造花のような花を咲かせている。
登りは5分ほどで終わりまた雑木林を行く。途中、ヤマボウシの実がびっしり と付いている木を見つけ、家内と赤い実を選びながら口に運んだ。 疲れている体には元気の出る甘くておいしい山からの贈り物であった。
やがて笹の登りの道となる。だいぶ歩いての急登で結構骨が折れる。 これを登りきると明るく視界の開けた日の当たるこじんまりした ピークに到着する。ここが大幡山である。 今、下ってきた御巣鷹山の斜面が見渡される。
ここから比較的丈の低い雑木林の明るい下りの道となる。やがてカラマツ、 モミなどの混じる平坦な道になると、送電線の鉄塔のある切り開かれた広場に出る。
ここは一休みするには良いところである。左に立派な鉄塔の巡回路が下っており、 清八峠手前の分岐と間違いやすいので注意を要する。
一休みし、最後の登りに挑戦する。 カラマツ、モミなどの混じる急登の道である。これを登りきり下ると、 また視界が開ける。ここが清八峠の手前の分岐である。ガイドには大幡八丁峠とある。
左下のすぐそこまで林道が来ており広場となっている。 この林道をススキや野菊、紅葉した木々を眺めながら40分位歩くと 登山口の駐車場に着いた。
この周回コースは御巣鷹山以降展望が効かないが、歩く人も少なく、静かで紅葉も 見られる気持ちの良いコースであった。今度は木無山の草原の花が咲いている頃来たい と思う。(95−10−09歩く)

(コースタイム)
自宅4:35−登山口6:40〜50−木無山8:10〜8:15 −三つ峠8:30〜40−御巣鷹山9:00−岩の露出した下り9:40 −鉄塔10:35〜50−清八峠分岐11:05−この間昼食で休んだ-登山口12:45

(地図)
・1/25000 地形図 河口湖東部
・具体的ルートは実業之日本社 ブルーガイド ハイカー「東京・首都圏  クルマで出かける山歩き」
 のP-57を参照して下さい。

[山紀行]