A.山歩き/2.山紀行/・・鉄砲木ノ頭
鉄砲木ノ頭
ーー含む、三国峠附近ミニガイドーー

富士山と山中湖の展望抜群の鉄砲木ノ頭から、
まばゆいばかりの新緑の樹木の中を切通峠、林道と周回する




鉄砲木ノ頭・切通峠(2001-5-13歩く)
山中湖の南側の三国峠から明神山に登った。明神山?そうんな山はあったかな。 箱根の明神ケ岳でないの、と思いの方もいるのでは。
5月の連休も過ぎた休日、7月頃の陽気に誘われて、7,8年振りに三国峠をから 鉄砲木ノ頭に登るために、自宅をのんびりと9:15に出発した。
国道246を 駿河小山の金時公園附近で降りて富士グリーンヒルゴルブ場の方へ向い、富士スピード ウェイの手前で三国峠経由山中湖へ右折する。上に上がるにしたがって車窓から 見える山の緑は徐々に若葉色となり、まばゆいばかりである。また沿道にはピンク のウツギの花が続き彩を添えている。
これまで、明神峠から神奈川県の標識のある あたりまでは狭くて曲がりくねって、対向車があるとヒヤヒヤものであったが、最後の 50m位を残して完全な二車線に整備され、また、左側の展望も良くなっていた。
神奈川県の標識のところで山道が道を横切っている。左に登ると三国山で、右手後方 に行くと、今上がってきた道に沿って、明神峠を経て湯船山へゆく道で、道標も完備 されている。少しの間であるが、ここから、三国峠までが神奈川県である。左斜面の 三国山のブナ、ミズナラ等の広葉樹の新緑が美しい。
三国峠の駐車スペースに車を置いて、右手の北側方向に行く。入口には 道標があって鉄砲木ノ頭方面を指して明神山と書いてある。明神山、聞いたことがない。アレッ、明神峠の 方に行くのか。そんなはずはない、何回も登っている、鉄砲木ノ頭に間違いない、 と思いつつ登る。
滑りやすい溝状に掘れたところもある道を上っていく。右側は草地で潅木が繁っている。 左側は野焼きをしたらしくカヤトが焼け、先の炭化した短いカヤトが地面の処どろに 残っている。黒い炭の散らばる地面に、夏には花を咲かせるギボシの青々とした筒状の若葉 が点在している。植生回復のため立ち入り禁止、という立て札が道沿いに立っている。 右側の草地を見るとスミレの群生がところどころに見られ、初夏の木漏れ日で 輝いている。
登るにしたがって左手眼下には山中湖が広がり、その上に富士山の裾野が広がってい る。あいにく、山頂附近は雲で隠れている。しかし、その眼下の風景は広々とし、気分 爽快である。
頂上に到着すると道標があり、明神山という標識も立っていた。何回となく登っ たのに気が付かなかった。それとも標識は比較的最近できたのであろうか。 鉄砲木ノ頭は明神山であったのである。ところがちぐはぐなところがあり、 切通峠にいったら、道標には鉄砲木ノ頭と書いてあった。
パノラマ台への下山の道標のある処で、山中湖と大平山から石割山へ連なる 山並みを眺めながら昼食とした。富士山が見えたら最高であったが、これだけでは 物足りない気分である。車を三国峠に置いているので、以前歩いた切通峠から林道を 戻ってくる周回コースを歩くことにする。
山頂の祠の近くに立っている道標には切通峠方面の案内はない。三国峠とパノラ マ台方面だけである。道標から北東方向、すなわち山中湖を背にして左斜め前方へ 緩やかに下っている草地の中の踏み跡がある。それが 切通峠への道である。直ぐ樹林帯の道に入る。誰も来る人はいなく静かな山歩きとなる。
樹林帯に入ると白い花を付けた木が目に入ってきた。何だろうと思って近寄ると コブシの花であった。もう満開を過ぎてしおれている花が多かったが、今ごろ 見れると思わなかったので感激した。また、コナラ等の美しい樹林の林床には青々 とした新緑のバイケイソウの群落が山道に沿って広がっている。また、朱色のボケの 花、黄色の小さい花を付けたミツバツチグリがバイケイソウの緑を更に引き立てている。
また、放射状に開いた形状が美しいみずみずしいコゴミが林床に点在していたり、まだ 早いようであったが ヤマシャクヤクも咲いていたり、早春の樹林に彩を添えている。なかなか雰囲気の良い樹林 の道である。写真を写しながらのんびりと歩く。30分ほどそのような樹林帯の平坦な道を行くと広い 緩やかな下りとなり、林床には今度はヤブレガサの群落が見られるようになる。
一旦、平坦になり、笹の道を行き、尾根の左を巻くようにして更に下ると右下に 樹間から道が見えてきて、間もなく切通峠についた。切通峠は十字路になっていて道標 が立っている。真直ぐは 菰釣山、左は平野、右は丹沢湖の浅瀬、手前は明神山でなく、鉄砲木ノ頭となって いる。
ここから三国峠へ戻るには、右の浅瀬の方へ行く。道は今まで歩いて来た尾根の 東側斜面を尾根と平行して戻るように延びている。廻れ右をして戻るように雑木林の 中の道を行く。道は尾根の道と変わらないくらいハッキリした道である。峠から5分 も行くと杉林となり、浅瀬への道が左に下っている。それを見送って真っ直ぐ行く。
道は浅瀬と分れたがそんなに悪くなっていない。この道は送電線鉄塔の点検のた めの道にもなっていてメンテナンスされているようである。 少し行くと右斜面が広々とした林床の雰囲気の良いところとなる。道の足元をみると 小さい白い花が咲いている。セツブンソウ(?)みたいである。斜面をみるとところ どころに固まって咲いている。
やがて樹林帯の中の道が終わり右上に鉄塔が見える。下を廻り込んで行くと 右に鉄塔への道が左に他の鉄塔への巡回ルートが分れている。それらを見 送って真っ直ぐ行くと広場に出る。そこには「みどりの協定区域」の案内板が立って いる。この広場が三国峠に通じている林道である。この林道を右に行く。
林道はこれまで歩いてきた尾根から派生している枝尾根を廻りこみながら くねくねと曲がり三国峠まで通じている。廻り込んでは変わる風景を期待して、 自然林の巨木を眺めたり、新緑を愛でたり、小鳥のさえずりを聞いたり、写真を 写したりしながらのんびりと行く。
殆ど歩く人がいないようで登山靴の足跡はない。その代わりあるのは鹿のおびた だしい足跡である。1時間も歩いて林道を廻りこんでいくと、真正面から日の当たる ところとなり、右斜面に黄色い花の大群落を発見する。それは黄色の小さな花を付け たミツバツチグリの大群落であった。初夏の日差しにキラキラと輝いて、蝶も舞って いて、その斜面だけが明るく華やいでいる。以前登った近くの湯船山の頂上もミツバ ツチグリの群落があったが、それよりも大規模であった。このような思わぬ発見をし たりしながら2時間弱ほど歩いてようやく三国峠についた。
なお、林道の所々には、ミツバツツジの落花があったり、また山桜、フジザクラなど もあったので、もう少し早い山桜の咲く頃がもっと良いかもしれないと思った。

(コースタイム)
自宅9:15−三国峠(P)11:15〜30−鉄砲木ノ頭(明神山)11:50〜12:10− 切通峠13:10−林道広場13:25〜40−三国峠(P)15:25

(地図)
・1/50000 地形図 山中湖
・略図 下記




☆☆三国峠附近のミニガイド☆☆

  • 三国峠から三国山・大洞山
    神奈川県近郊で、ブナの美林というと丹沢山の堂平が有名ですが、手軽にブナの木をみれるところ というと、三国山から大洞山の尾根です。三国峠から35分ほど登ると ブナやミズナラの木の茂る雰囲気の良い三国山です。それからおおよそ1時間10分 ほど尾根道をゆくと大洞山です。途中ブナやミズナラの大木の茂る雰囲気の 良いところがあったり、春はエンレイソウなど山野草の花にお目に掛かれます。 しかし、いずれの山頂も樹林の中で展望は効きません。5月 の新緑の頃、10月の秋の紅葉のころがベストシーズンです。
  • 籠坂峠からアザミ平
      近郊で最も身近にマツムシソウの群落が見られるのはアザミ平です。 もちろん名前の通りフジアザミも、またカワラナデシコも咲いています。 8月下旬から9月中旬が良いです。初秋の晴れた日、弁当を持ってお花見ハイキングに うってつけです。ものたりない方は大洞山まで足を伸ばすといいと思います。
    籠坂峠附近でY字分岐になっているところを右の旭日丘方面へ入って直ぐ 右に峠の方向に戻るように登っている道があります。ここは後続の車がいると 入りにくいので一旦左に寄せて停まり、車をやり過ごして、Uターンして入ると いいです。上ると公園墓地となっていて、駐車スペースがあります。そこから 火山灰のザラザラした道を50分位緩やかに登るとアザミ平です。

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