A.山歩き/2.山紀行/・・鍋割山・栗ノ木洞
鍋割山・栗ノ木洞

ーー富士山展望の鍋割山と日溜りの栗ノ木洞ーー

鍋割山
昨年の正月は大山へ登った。大山は山頂に阿夫利神社の奥の院があり、初詣かねた 登山者でごったかえしていた。今年は静かな山に登ろうと思うが、何か特徴があった 方が良い。富士山の見える山が良いと思い鍋割山に決めた。
若い頃、水無川の沢や表尾根、大倉尾根は何回となく登っているが、不思議と 隣の鍋割山には縁がなく1度も登ったことがなく、気にかかっていた山であった。
おおよそ30年振り位の実現である。 県立登山訓練所まで車で入ることにした。地形図で西山林道を探しながら行く。 入口から少し行くとだいぶ荒れてきて、このまま行けるか懸念されたが、 ガタガタ道を強引に行くと、右から舗装道路が交わり急に道が良くなった。
右側が西山林道かと思って行ってみると大倉であった。引き返して若千良く なった西山林道を行く。
途中、林道は山の斜面からの落石があったり、地すべりで杉の木が倒れている ところがあったりして余り整備状態が良くなかった。県民の森の方からの林道 と交わった路肩に3台ほど駐車していたので、その付近に駐車した(略図P1)。
身支度して歩き出すと勘七の沢、鍋割を整備した人のレリーフがあり、訓練所 の赤い屋根も見えてきた。今日は登山者が少ないと思っていたが、レリーフの先の 二又広場には沢山の車が駐車していて満杯の状態であった。
今日は訓練尾根を登って鍋割山、後沢乗越と周回する予定である。訓練尾根に 取付くと最初は杉の植林帯の中をせり上がってくる後沢乗越尾根と競争しながら登る。 やがてモミ、松、ナラなどの混じる自然林の中の急登の道となる。
1時間も登るとベンチがあり、そこで休憩する。時々木々の間から日が差し 比較的暖かい。正月動かずに休んでいたせいかすぐ息切れする。10分程長く休んで から出発する。下から若い夫婦が登ってくるのが見える。我々と同じようにベンチで休む のかと思ったが、そのまま登ってくる。若い人は元気だなあ、と思いながら黙々と登る。
やがて左側の視界が開け、谷のガレ場や真っ白に雪を頂いている富士山が見えて くる。だんだん高度を上げるにしたがって富士山はせり上がってきて空にそびえ雄大 になってきた。
ガレ場がまじかに見える見晴らしのよい小さい笹の生えている草地で休憩する。 今日の目的は富士山を眺めることである。富士山の展望もよく写真を写す。
稜線もまじかに見えるようになると、木々の丈が低くなり、カヤト、笹が多く なる。やがて傾斜も緩くなって稜線に出た。
稜線は冬枯れのブナが美しい。山道には残雪があり、その白さが目にしみ、 心が洗われるようだ。北側の斜面にも残雪があり、ブナ、ミズナラが垂直に規則的に 並んで立っている。その枝の先端部が日差しを浴びて美しく輝いている。
しばらく行くと目の前の視界が開け、次のピークに鍋割小屋のブルーの屋根が 見え、さらにその上に、遠く富士山が浮かんでいる。
だんだん雲が濃くなり、かすんできたが絶景である。来た甲斐があった。 いったん鞍部に下り、登り返したところが鍋割山であった。
鍋割は表丹沢の南端であるため、展望がよい。桧岳、桧洞丸、蛭ケ岳、 などが見渡せる。桧岳方面に富士山が見えるはずであるが、もうすっかり雲に 覆われ見えない。
小屋の前の手入れの行き届いた草地の広場で早速昼食とするが、日がかげり寒 く、早々に写真を写し、後沢乗越方面に下ることにした。
少し下るとカヤトの道になり、風も無く日溜りになっていて暖かい。 「この辺で昼食にすればよかったね」と話しながら下る。乗越しに近づくにした がって傾斜はきつくなってきた。もう2時も過ぎたというのに、まだ登ってくる人 がいる。
小屋泊まりでご来光でも眺めるのかもしれない、正月はそう云うのも良いかもし れない、と思いながら下ると後沢乗越に着いた。まっすぐそのまま行く道も気に なったが、左の勘七の沢出合いの方に下る。
やがてミズヒノ沢に出る。そこまで林道が来ている。そこにはペットボトルや ポリタンクがあり、鍋割小屋までボランテアで運び上げに協力して下さい、 と書いてある。
小屋には水場が無いのかもしれない、泊まる人は自分の使うぶん位は運び上げ て行くのではないかと思った。よいアイデアである。
林道を道なりに行くと勘七出合いを通り、今朝、車の止めた所に着いた。 林道は県民の森方面のほうが新しく整備されているようであるが、 途中どうなっているかわからないので今朝来た道を戻った。
(1996−1−2歩く)

栗の木洞
後沢乗越の先の栗の木洞と県民の森方面への林道が気になり、1日おいて県民の森 から栗の木洞、後沢乗越、二又、県民の森と歩いた。
三廻部部落から病院の脇の林道に入る。未舗装であるが、しばらく行くと舗装 となる。思ったより早く寄方面に通じている林道との分かれ道に着く。
そこからはすぐ県民の森の管理棟だった。しかし、駐車するような広場が ない。少し行くと路肩が広くなっているところがあり、そこに駐車した(略図P)。
管理棟の案内板を見ると稜線に通じる遊歩道があり、標識は番号札となって 上へ上へと登っている。杉林からコナラ、ミズキなどの木々の遊歩道を どんどん高度を上げて登って行くと、やがて、カヤトの道となり、遠く相模湾が日 に輝いて、真鶴半島が望まれた。
今日は風も無く南向きのカヤトの原は日溜りとなっていて暖かい。弁当でも広げる のによい場所である。まだ早いが小休止してまた登る。
やがて、杉の若木の道となり、海を時々振り返りながら登る。ひと登りすると 稜線の櫟山(くぬぎやま)に出た。
櫟山は広場になっていた。寄よりの方にはカヤト越しに少し窮屈であるが、 富士山が見えた。冬の日溜りハイキングにはよいところである。
この広場から栗の木洞へ稜線沿いに行くが、杉林の中の緩やかな登りで全く 情緒の無いところであった。頂上についたが、そこも杉林の中の薄暗いところである。
ここから林道に下る遊歩道もあったが工事中であった。そのまま真っ直ぐ後沢乗 越へ向かう。少し行くと杉林から抜け、左手に富士山、正面に鍋割、大丸、大倉尾根 が見渡せられ、なかなかの展望である。
そこから北斜面で寒々としえぐれられた道を笹や木の枝につかまりながら 急降下する。平坦なところに着いてから少し登り返し、また緩やかに下ると 後沢乗越であった。
そこから県民の森方面への林道分岐までは先日と同じ道を歩いた。分岐から管理 棟まで1時間くらい掛かるのかと思ったが、予想に反して30分程度で戻った。
(1996−1−4歩く)

櫟山から宇津茂方面へ下り、林道を経て県民の森へ戻る
三廻部林道を通って表丹沢県民の森に車を置く。林道は、以前、県立登山訓練所 まで通じていたが、県民の森のすぐ先にゲートが出来、通行止めとなっていた。
県民の森のルートの案内図を見て、櫟山の標識番号を控え、その番号を目指して 登る。以前と同じように、コナラ、ミズキなどの森を登って、尾根に近づくとカヤト となり、見晴らしも良くなり、風も無く、暖かい日溜りとなった。最後に、鹿よけ の金網フエンスを梯子で越えると櫟山の広場に降り立った。
県民の森のためその広場は手入れが行き届いており、気持ちが良い。 今回は丁度紅葉の時期で、二本の枝振りの良いモミジの紅葉が盛りであった。
モミジの下で昼食を取った後、今回はまだ歩いていない宇津茂の方へ下る。下る 道を探すがなかなか見付からない。そう言えば鹿よけの金網フエンスを越えたところ に道標があったので、そちらの方に行ってみると、フエンス沿いに踏み跡があった。
余りハッキリしない道であるが下っていくと、左に県民の森、真直ぐ宇津茂の道 標があり、真直ぐ行く。しばらく行くと杉林に突き当り、赤字の矢印と宇津茂の道標 にしたがって左に直角に曲がる。そこからは杉林の中の道でジグザク下っていく。
杉林であるため、落ち葉が少なく、踏み跡もハッキリしている。15分も下ると 左下にガードレールが見えてくるが、これは工事中の林道で途中で見えなくなる。 さらに下ると、寄から尾根を越えて県民の森近くに通じている林道が見えてくる。 白くペンキで塗られたスチール製の手摺の付いた階段を降りると林道となる。櫟山 から35分である。
向いに宇津茂への同じような階段が登っているが、我々は林道を左に下る。 途中、小さい二つの滝と櫟山の紅葉の山肌が見える程度で見所はあまり無い。35分 も林道を歩くと三廻部林道に合さり、左に2,3分登ると県民の森入り口となった。
(2000年11月26日歩く)


(鍋割山 コースタイム)
自宅7:20−林道分岐(P1)8:30〜40−稜線
11:03 −鍋割山11:45〜12:20 −後沢乗越
13:10−林道分岐(P1)14:07

(栗ノ木洞 コースタイム)
自宅8:00−県民の森管理棟(P)9:10〜15 −櫟山10:11〜20−栗ノ木洞10:40 -後沢乗越11:15〜20−林道分岐(P1)12:22 -県民の森管理棟(P)
12:45

(地図)
・昭文社 山と高原地図 丹沢
・略図 左図


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