A.山歩き/2.山紀行/・・鳴虫山
鳴虫山

ーまばゆいばかりの春爛漫の日光からツツジ咲く鳴虫山へー


久しぶりに電車に乗っての山行である。東武日光線、浅草7:30発の特急 で行く。日光に近づくにしたがって、まぶしいばかりの木々の新緑、 カーテン状に垂れ下がった紫の藤の花、オレンジ色のヤマツツジ等の風景が車窓 を流れて行く。
時には、車窓に迫る切り通しや杉林などの濃い緑の壁が、時々流れてくる ヤマツツジのオレンジ色でフラシュライトのようにまばゆいばかりに明るくなる。 まるで車窓は日本画のスライドショーのようであった。 日光市街地付近はヤマツツジが真っ盛りであり、この分だと鳴虫山のヤシオツツジも 満開だろうと期待を持たせてくれる。
駅前に出て、東照宮方面へ国道を右折して少し行くと消防署があり、その手前の道を 左折してしばらく行くと登山口となった。そこから、すぐ山に取り付く登りとなる。 その付近にもヤマツツジが咲き乱れ、オレンジ色のトンネルをくぐって登っていく。
しばらく登ると杉や桧の林の道となるが、それを過ぎると新緑の広葉樹の中を行 くようになり、やがて神主山(こうのすやま)に着く。そこのベンチからは赤薙山、 女峰山、男体山が前面に広がって見える。また、左手には、これから登る鳴虫山への 尾根も望まれる。
新緑の中のツツジはヤマツツジからミツバツツジに変わり、ピンクの花が新緑の 中に浮かんでいる。
途中、下山してきた夫婦に会う。「ヤシオツツジはどうですか」と尋ねたところ 、今年は暖かく、アカヤシオは終わり、シロヤシオが少しあるとのことであった。 また、アカヤシオの花びらも落ちていなく、今年は不作あったのでは、とのことで もあった。期待して登ってきたのにガッカリである。
登るにしたがってミツバツツジが多くなり、稜線に出るとシロヤシオの花がチラ ホラ見えるがアカヤシオの姿はない。しかし、新緑の中に浮かぶミツバツツジが美し い。ようやく、頂上らしいピークについたが頂上でなかった。
そこからは左側は 桧林で右は新緑の美しいブナなどの自然林の稜線である。桧林にはカタクリが見られ るが花は既に終わっていた。右の自然林にはシロヤシオが見られ、アカヤシオの花び らも少し落ちている。良く見ると、下の方にアカヤシオがみられたが、花は既に終わ り、しおれて色がくすんでいた。
頂上への急坂を登りきると舞台のような立派な展望台がある頂上についた。 展望台の正面にアカヤシオの大木があるが既に散っていた。 舞台で、多くのパーティが休んでいる。5月連休頃アカヤシオが咲くことで名が知れ ているので、結構人が多く、我々は裏側の方に腰掛け昼食とする。
昼食の後、少し休憩して含満淵の方に急坂を下る。結構アカヤシオの木が多く、 散った花びらが地面に落ちている。稜線よりアカヤシオが多く、盛りの頃は見ごたえ があったろうと思われた。もう、一週間早く来たらと悔やまれる。この下りの尾根は アカヤシオは多いが、シロヤシオはほとんどなかった。
急坂を下る割には高度が下がらない。合峰から何回となく小さなピークの登り下 りを繰り返し、独標で最後のピークとなった。
そこから延々と下ると発電所近くになり、平坦なところに出た。山道脇の茂みは ボケの花が盛りであった。発電所から含満淵の方に行き、渓谷沿いに下ると、いくら 数えても数が合わないと言うお化地蔵が見えてきた。
お地蔵様の顔が穏やかであ った。淵の対岸は日光植物園であった。ヤマツツジのオレンジが新緑と渓谷のブルーに映えて美しい。 少し行くと公園広場となり、八重桜、ヤマブキ、ヤマツツジが満開で、春爛漫であっ た。さらに町の方に下ると、右手の大谷川の急流の中州には黄色の菜の花が咲き、対岸の山々も新 緑が美しい。
景色に見とれているうちに、東照宮に寄るつもりであったが、真っ赤な神橋のと ころまで来てしまった。東照宮はまたの機会としてバスに乗ろうと思ったが、渋滞し ている。歩いた方が早いようであったので、駅まで歩くことにした。
途中、市役所の前で銘水を飲み、補給した。また、日光郷土センターにも寄った ところ、そこにも銘水があった。どうも日光はおいしい水が出るところらしく、 さらに、駅前にも銘水があった。
思ったより早く着いて、17:25の特急を予約していたが、一つ前の16:25 の特急で帰ることが出来た。
今回は暖冬のために、アカヤシオは過ぎていたが、その代わりヤマツツジや新緑 を堪能できたので、十分満足な山行であった。また、途中、対岸から見たところ、 日光植物園はなかなかきれいな所のようなので、今度は、ヤマツツジの咲く頃、ゆっくり散策し たいと思う。(1998−4−30歩く)

(コースタイム)
東武日光駅着9:20−神主山−頂上−合峰− 独標−含満淵−神橋−東武日光駅発16:25
間の記録がありませんので、下記の地図のコースタイムを参照して下さい。なお、 上記の電車時間は日光市内で、ゆっくりと日光郷土センター、おみやげ屋等へ寄っての 時間です。

(地図)
・昭文社 山と高原地図 日光

●追記
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