A.山歩き/2.山紀行/・・北八ッ・にゅう
北八ッ・にゅう

ーー麦草峠から白駒池をへて、展望のにゅう・高見石をめぐるーー


北八ッ・にゅう(1998-8-14歩く)
お盆休みに、今まで取り残していた「にゅう」を、麦草峠を基点とする周回コース に組み込んで歩いてみた。
中央高速の双葉SAあたりでは雨が降っていたが、幸い、茅野ICでは雨は上がって いた。麦草峠には8時頃についた。スッキリしない天気であるが、お盆休み とあって、駐車場は満車に近く、かろうじてトイレの近くに駐車できた。
昨夜は雨が大分降ったようで道はぬかるんでいる。スパッツを付けて出発 することにする。シラビソの林を抜けると麦草峠の開放的な明るい草原にでる。 そこには赤い屋根の麦草ヒュッテが立っており、その周りには満開のヤナギランが咲 き乱れている。 ブルーの花も咲いている。ウルップ草かなと思って、近づいて良く見るとトリカブト であった。今まで何回となく訪れているが今回が最も花が多いようである。
道標にしたがって白駒池の方へヤナギラン咲く草原を下ると、間もなくシラビソの林 の中へ入っていく。食べれそうにないキノコがところどころに生えていたりする。 しばらく歩いていくと樹林帯を抜け、開けた箱庭のよう に景色の美しいところにでる。苔むした岩に枝振りの良い背丈の低い 針葉樹、シャクナゲ、コケモモ、などが適度に生えて日本庭園のようである。 そこを過ぎると白駒池の駐車場付近に至り、白駒池への道と合流した。
白駒池への道はシラビソの苔むした雰囲気のよいところで、苔の写真を写し ている人もいる。10分も歩くと樹間から白駒池が見えてくる。池のほとりを 少し行って白駒荘で池の写真を写したりして一休みする。
白駒荘から池に沿って行くと、高見石、にゅう、稲子湯方面の分岐となり、いよいよ 山道を行くようになる。大きな石のゴロゴロした道をしばらく行くと、小さな湿地帯 でて、敷かれた丸太の上をバランスとりながら渡ってゆく。
その後はまたシラビソの暗い 石のゴロゴロした道を登って行く。薄暗く苔むし踏み跡も薄い道を赤テープをたどり たどりしながら登って行く。
そのうち稲子湯への分岐となるが、左に見送り、さらに 登って行くと、ようやく明るくなり道も平坦となる。もう、山頂かと思っていたとこ ろへ、親子3人連れのハイカーが下って来た。にゅうまでどのくらい掛かるかを聞くと、 もう15分位掛かるとのことである。その通りまた登りとなった。しばらく行くと、 もう一つの稲子湯分岐に達した。ここを過ぎると、間もなく上の方から登山者の声がし、 にゅうの山頂も近いことを知らせてくれる。
岩場の山頂に登ると、北側の展望がすばらしい。茶臼、縞枯、高見石、白駒池が眼下に 見渡せられる。しかし、稲子岳、天狗岳の南側はガスがどんどん昇ってきて何も見え ない。しばらく休んでいるとようやくガスが切れて天狗岳が見えて来た。待望の写真 を写し、中山峠へと出発した。
崖の縁をたどるように時々樹間から天狗岳を見な がら行く。イワカガミとシャクナゲが多い。花の時期は見事であろうと想像させてく れる。中山峠の稜線まで40分とあるが、なかなか着かない。ようやく1時間近 く歩いて着いた。
12時であったが、昼食をとる適当なところがないので、中山 展望台まで足を伸ばすことにする。岩のゴロゴロした中山への急斜面を登りながら上 を見ると、中年のおばさんがシベリアンハスキーなる犬を連れて降りて来ようとして いる。しかし、犬は恐がっていくら紐を引っ張っても降りようとしない。とうとう困 り果てて抱っこして降ろして行った。
この石のゴロゴロした道を登り切った中山から、後を振り返えると天狗の眺めが すばらしい。そこから少し行くと賽の河原みたいな石の ゴロゴロした展望台にでた。何も遮るものがなく、西天狗から東天狗にいたる稜線 の曲線が美しい。天狗岳の見えるところで昼食とする。
高見石への道は、これ また石のゴロゴロした下りで、ただただ黙々と消化するだけという感じで歩く。 1時間位してようやく高見石に着いて、テラスで牛乳を飲んで一息つく。その後、 小屋の脇から岩場の展望台に登り、広々と連なる樹冠の中に光る白駒池を眺望 する。池を眺めていると気持ちもゆったりしてくる。
丸山を越えて麦草峠へ戻ることにする。途中の白駒峠で観光客風の中年の おじさんが白駒池の方角から歩いて来た。そして、白駒池の駐車場にはどう行けば 良いですか、と訪ねられた。エッと、予想もしなかった質問なので、一瞬、言葉が 出なかった。地図を広げて調べてみたところ、その道は白駒池駐車場と白駒池 間の道の白駒池寄りのところに通じている。どうも、青苔荘の方から来て、駐車場へ 右に曲がる道を見落として、ここまで来てしまったらしい。戻って白駒池近くで左に 曲がるように、と教えた。
長丁場歩いた後の丸山への登りは結構きつく、あえきあえぎ登る。丸山では 残っていたトマトを食べて英気を養って出発する。もうこれで登りもおしま いと思ったが、一旦下ってまた若千上っている。なんとか登りきって、もう下り一方 だけの麦草峠への道を下る。といっても約100m下るので結構ある。足元に気をつけて 、しばらく樹間の道を下って行くと、麦草ヒユッテの立っ開けた草原にやっとたど り着いた。ヤナギランやトリカブトが彩を添える赤い屋根の麦草ヒユッテの写真を 写して、無事、この周回コースの山歩きを終えた。

(コースタイム)
自宅4:15-相模湖IC5:23−麦草峠(P)8:10〜8:20−白駒池 9:05〜15−最初の稲子湯分岐10:00−にゅう10:45〜11:05− 中山峠の稜線12:00−中山12:15−展望台12:20〜45− 高見石13:55〜14:15−丸山14:35〜40−麦草峠(P)15:30

「にゅう」へ(2001-7-2 白駒池から白樺尾根分岐経由で歩く)
梅雨の合間をみて再度「にゅう」を歩いてみた。以前歩いた時、「にゅう」のあたり には花の終わったシャクナゲとイワカガミの群生があったので、もしかしたら 見れるかもしれないと期待を持って出かけてみた。
今回は「にゅう」だけ 歩くことで、白駒池の駐車場(500円/台)に車をとめて往復した。この時期、麦草峠 へ上がるのははじめてである。茅野から299号線を上がって、別荘地を 過ぎるころから、道路脇には青々したシダ、みずみずしい紫色のアヤメ、日向 木場展望台附近ではまだレンゲツツジなど、初夏の花が結構見られた。
車を置いて、たまたま苔の写真を写しに来たご夫妻と一緒になり、白駒池の方に苔む すコメツガの林に入っていく。木漏れ日に輝く林床のみずみずしい苔の緑は美しい 、そういう光景が見られるのかなと期待したがまだ早く、これからのようである。確かに、白駒池 あたりの林床のマイズルソウや湖畔のシャクナゲの花の蕾も固く、2000m級の 標高になるとまだ春が来たばかりのようである。
白駒荘附近でご夫妻と別れ、にゅうに向う。にゅう分岐附近の湖畔の木道は新し く補修されている。やがて明るく開けた湿地帯となる。雪解け間もないせいか、随分水 量が多いが、木道が整備されていて歩きやすい。湿原の入口の林床には小さな白い花 をつけた葉がシダのような高山植物(オサバグサ)が見られる。更に水辺に行くと、ピ ンクの可愛い花を付けたイワカガミが見られ、この分だと「にゅう」のイワカガミ も盛りでないかと期待を持たせてくれる。また、湿原に目を移すとそんなには多くな いがワタスゲと思うが白い丸いものを付けたものが見られる。
ここからは平坦なコメツガの林を行くが、山道の両脇の岩の苔むしたところや倒木 や木の根元の苔むしたところにはオサバグサが咲いている。なかなか清楚な花で 写真を写しながら歩いて行く。やがてコメツガの薄暗い石のゴロゴロした登りとなり 、しばらく行くと右に「にゅう・中山峠」への道が分岐している。前回も登って薄暗 いコメツガの道であることが分っているので、今回は少し回り道であるが、稲子湯の 方に行って、白樺尾根とシャクナゲ尾根の合流点から右に「にゅう・中山峠」 へ登ることにする。
薄暗いコメツガの道にはピンクのテープが付けられていて迷うことはない。少し行くと 先が明るく見える急登となる。登りきると明るくなり道端にはオサバグサの群生が 見られ、やがて緩やかに下る。ここらへんの樹林帯は世代交代なのか、林床のあちこちに コメツガの苗が生えている。また、ダケカンバの木なども遠くに見られる。 しばらく下ると林床が凸凹し、その表面が一面カーペットのように苔で覆われた雰囲気のよいとこ ろにでる。そこからすぐ明るく開け右にダケカンバの新緑の混じる斜面が上っているのが 見えてくると「にゅう・中山峠」分岐となる。ここで小休止する。なかなか雰囲気のよい 道で、こちらに来て正解だったと思う。周りを見ると白樺尾根、シャクナゲ尾根 からの道が左下から登ってきている。
ここより木の密集したところを5分も急登すると広々としたコメツガにダケガンバ の混じる樹林帯に出る。美しいダケカンバの新緑の大木などがあったりして雰囲気の良 いところである。そこを緩やかに登って行くと、右下から左上に延びている尾根 の輪郭が樹間から見えてきて、その尾根に向ってまた急登することになる。
これを登りきると傾斜も緩み、見慣れたコメツガの比較的明るい道を行く。やがて樹間に 横たわる大きな岩が見えてくると山道脇に待望のイワカガミが現れる。そして白 駒池からの道と合さる。近くにシャクナゲもあり、覗いてみるが花は時期早尚である。
そこからはもう「にゅう」が目の先である。石のゴロゴロした急登をあえぎあ えぎ登る。だんだん正面の空の空間が大きくなって、稜線に到達する。今日は天候に も恵まれ、以前登った硫黄岳、天狗と緑濃い稲子岳も眺望される。 近くの岩場にはコケモモが小さい花をつけている。また、日差しの良く当たる ところのイワカガミは既に花が終わっているが、木陰や岩陰のイワカカミは満開である。
左の「にゅう」の岩峰に登り、昼食とすることにする。山頂からは少し霞んでい るが、360度の展望である。先ほどの展望に加えて、緑濃い中山、眼下に広がる樹冠 の連なりの中に輝く白駒池、湖畔の赤い屋根の山荘、更にその上にそびえる蓼科山などが 展望される。 昼食の後、イワカガミの写真を写すために中山峠の方に少し寄って、 そして、今度は最短コースで白駒池へと下った。
白駒池との合流点で道標を見たところ、左側、高見石、右側、国道299線とある。 アレレ!左に戻ると高見石か。湖畔の周回道の標識は難しいな、と思う。どうも標 識は湖畔を周回する人の為についているようである。しかし、逆廻りの人はどう思うの だろうか。

白駒池周辺のシャクナゲは7/下旬頃のようである、その頃また来たいものである。

('03-07-03の再訪)
同じく白駒池から白樺尾根分岐経由で'03-07-03に歩きました。 Digicame Photo Gallery--Photohiking-- としてまとめてあります。

(地図)
・昭文社 山と高原地図 八ヶ岳・蓼科
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