A.山歩き/2.山紀行/・・奥日光・戦場ケ原
奥日光・戦場ケ原

ー美しい自然林、原始の面影を残す湯川、ホサキシモツケ咲く明るく開放的な湿原ー



奥日光・戦場ヶ原(2000-8-7歩く)
戦場ヶ原は余りにも有名な観光地で、良く知っていたつもりでいたので長らく敬遠 して来た。今回は切込・刈込湖を廻る計画で奥日光に来てみたが、今年の夏 は寒気が南下してきておるために大気が非常に不安定で、必ずといっていいくらい 午後から雷雨があるということである。娘を連れての山歩きであるので、 予定を変更して敬遠していた戦場ヶ原を歩いて見ることにした。
戦場ヶ原は小田代原を含めて赤沼駐車場を基点に 周回するのが普通のコースであるが、既に小田代原は歩いているので、今回は光 徳牧場を含めて廻るコースを設定して歩いてみた。

赤沼茶屋の裏側駐車場に向うと畑の右手奥にネットが張られ、その中に満開の ピンクのヤナギランが咲いている。もうヤナギランの時期なんだと納得し、 今年はヤナギランが見られそうだと期待する。
駐車場に車を置き、皆が歩いて行く 方向とは反対の戦場ヶ原キャンプ場の方に向う。左手の草原は一面ピンクである。 ヤナギランと思ったらシモツケソウの花に似ている。しかし、名前は分らない。 道なりに行くと畑が多くなり、4,5人で小さい黒いビニールポットの苗の取りこみ を行っている。
何の苗ですか、と尋ねたらカランコエであった。注意しながら 周りを見て歩くと、ベコニアの苗があったり、シャコバシャボテン、苺の苗があった りする。この当たりは花や苺の苗の生産地になっているらしい。
やがてキャンプ場の標識が民家の入口みたいところに立っている。裏手の方が キャンプ場になっているようだ。地図(昭文社 山と高原地図 日光)ではキャンプ 場から直ぐ左折になっているが、農道の砂利道となっている。近くで働いている農家の 方に聞いてみたところ、それでもよいが、真直ぐ行って赤い屋根の家のところを左折 しても良いとのことであった。その附近には開拓の碑があるとのことである。 この辺は開拓地であったようだ。
地図通り道なりに行くと十字路となる。そして戦場ヶ原山荘入口の標識が立って いる。ここを左折すると三本松茶屋に行くが、十字路の右向いで,ネットを張って 花を栽培していたのでのぞいてみることにした。畑の入口には番小屋があり老夫婦が 番をしていた。挨拶してのぞかせてもらうと、なんとニッコウキスゲを畑で育てて売 っていた。それに黄色だけでなく、紫がかったキスゲも咲いていた。ネットで囲われ た畑の端には白樺が立っておりその下にはヤナギランが咲いていた。
老夫婦に聞いたところ、昔は赤い色のショウブやヤナギランが方々で咲いていた が、昔ほとんど見うけられなかった鹿が最近では7000頭にも増え、すっかり食べられ て花が無くなったとのことである。ヤナギランはネットで囲っておくしか咲かせ られないようである。唯一華やかに咲いているシモツケソウに似ている花はホサキシモツ ケソウで、あれは木であるので鹿は食べないとのことであった。
この後三本松茶屋へ向う。光徳牧場へは三本松駐車場の湯元よりの右奥に山道が あり、そこへ入って行く。カラマツ、コナラなどの雑木林の中の道が続く。余り歩か れていないようで草が伸びている。
やがてミズナラ、カラマツの美林の広い道と なり、右に志津林道を分けると間もなく光徳入口バス停からの舗装道路と交あう。 そこを右に道なりに行くと光徳であった。日光アストリアホテル入口に着くと、左手 の林が開けて牧場となっていた。
牧柵に近づくと三ッ岳であろうか山に囲まれた開放的な牧場が広がっている。奥の 方ではのんびりと馬や牛が草を食んでいおり、近くにはポッンと枯れた立木が2本立 っている。
放牧された馬や牛を眺めながら牧柵に沿って行くと、やがて道は牧場と離れて左へ 折れ、光徳沼へと向う。光徳沼附近はズミの木が多く、さらに周囲が山に囲まれ、 こじんまりした上高地の明神池のような雰囲気である。ズミの咲く頃はなかなか良い ところではないかと思う。
道は沼から流れでた川を渡り、右岸を川沿いに行くようになる。右側は 山の斜面で、コメツガ、ダケカンバ、ミズナラなどの混じるなかなか美しい樹林帯 である。
やがて車の音が聞こえてくると120号線に出て、道路を横断して湿地帯に入って行く。 木道が更新され新しくなっている。案内板はコールタールの匂いがし、まだ記事が 書かれていない。最初、両側はズミ、白樺、カラマツの雑木林であったが、間もなく 草原となって男体山が望まれる。
草原もつかのま、樹林帯に入ってゆくと湯滝、 小田代原の分岐となり、小田代原方面へと行く。やがて湯川に掛かる小田代橋 を渡る。湯川は原生林の中を自然の流れに任せ曲がりくねり、倒木が川面を覆ったり、 川に浸ったりして原始の川のようである。昔はどこにもこういう風景はあったが、 今は護岸工事でほとんど見かけることがなかっただけに、懐かしさを感じる。
しばらく樹林の美しい道を行くと泉門池に着く。ベンチがあり、清流でカルガモ のツガイ、子ガモ三羽を連れた親ガモなどが遊んでいる。そこから 五分ほどで小田代原分岐となるが、それを見送り、樹林帯の左側が開け、鹿 が近くで草を食べている所を通ったり、チョッと開けた草原に出たりしながら青木橋に到る。
青木橋を渡ると湯川の左側を行くようになり、樹林帯も終わり開けてくる。 男体山を背景にした白樺の点在する草原や、湯川の川辺をピンクに染めているホサキシモ ツケの群生が美しい。湿原の遠くでのんびりと鹿2頭が草を食んでいる。
しばらく湯川沿いに行くとズミの木が多くなり、ズミ林の間にピンクのホサキ シモツケの群生地があったりする。そのような風景を繰り返し、また樹林帯に 入り湯川とも離れるが、やがて湯川に流れる支流の橋にでる。橋を渡ると赤沼から小田代原方面に行く道と交わり、 そこを左に行き、間もなく赤沼駐車場となった。

エピローグ
戦場ヶ原のイメージは上の写真のように男体山を背景にズミや白樺の点在する明るく開放的な湿原 である。しかし、思いのほか樹林帯が多く、ミズナラ、カラマツ、白樺、コメツガ 等の自然林が非常に美しかった。さらに、自然に任せて蛇行して流れる湯川の原始の 姿も魅力的であった。また、翌日、湯滝見物に行ったが、樹林帯の周回コース(一周 45分)もまた自然林と湯川の流れが自然そのままの姿ですばらしかった。

(コースタイム)
赤沼駐車場9:40−三本松茶屋10:10−光徳アストリアホテル入口 10:50〜11:10−国道20号線11:45〜12:05−湯滝分岐12:34−青木橋13:15〜 13:30−赤沼駐車場14:30

(地図)
・昭文社 山と高原地図 日光
・略図 下記


●追記
A-2[山紀行]へ戻る