A.山歩き/2.山紀行/・・釈迦ケ岳

釈迦ケ岳
ーーヤマツツジ咲く美しい自然林を登ると360度の大パノラマが待っていたーー


釈迦ケ岳(2001-6-4歩く)
釈迦ケ岳は新道峠附近から芦川を挟んで北側に連なって見える尾根にひと きわ槍のように尖がり、目だって見える。黒岳に登るたびに気になっていた。今年もスズランの季節となり、スズラン見物を兼ねて 気になっていた釈迦ケ岳に登ってみることにした。
釈迦ケ岳だけでは時間的に 余裕であるので、最初、新道峠へ車で上がって、富士山の写真を写した後、林道をどんべい 峠へと向った。以前登った黒岳への道を右に分け、くねくねと登って行くと左側が開け、 釈迦岳への尾根が見えてくる。その切り開かれた斜面のところどころがツツジで朱色に色 ずいている。すぐに傾斜が緩んで道標の立つどんべい峠につく。
峠附近は少し広くなっていて路肩に駐車スペースがある。4,5台は駐車 出来そうである。まだ、一台も車はなく、我々がトップのようである。
早速身支度をして出発する。杉やモミの混じる雑木林に入って行くと、すぐに 尾根に乗る。右下には尾根と平行して林道が延びているのが見え、左側斜面は 伐採地で開け、懐かしい黒岳から新道峠への尾根が眺望される。目を近くに移すと 伐採地の境と山道沿いには色鮮やかな朱色のヤマツツジ咲いている。 ガイドにはミツバツツジが咲いているとあったので期待して来たが既に過ぎていた。 しかし、予想外にもヤマツツジが多くしかも満開である。山はただ登るだけでなく 展望とか花とかプラスアルファがあるとなお楽しくなる。自然と顔がほころんでくる。
このあたりはコナラの美しい自然林であったようで、伐採の際切り残された山道 沿いのコナラの大木が美しい。ヤマツツジの咲く伐採地を左に見ながら登って行くと 間もなくコナラの美しい自然林の中に入って行く。 ところどころにミツバツツジの落花や朱色のヤマツツジが見られる。また、懐かし いハルゼミの声も聞かれる。
樹林帯を5分も登ると左からすずらんの群生地からの道が上がってきて合さる。 そこから、時々コナラ、ミズナラの大木も見られる自然林の中を緩やかに登って行くと、 途中、2回もリスと出会った。我々の足音を聞いてかあわてて木に登り、上から我々を愛くる しい目で覗き込んでいる。朝早く一番に登ってきた我々に対する歓迎の挨拶のようである。
一旦ピークらしいところとなって緩やかに下って行くと、今度はハルゼミがギ ィギィと鳴いて足もとの草むらに飛んできた。孵化したばかりで良く飛べないよう である。手にとって見ると透き通った羽根でミンミンゼミより一回り小さい可愛いセ ミであった。
自然の豊かなところなんだなあ、と思いながら登って行くと、 標石のあるところに到った。府駒山かと思ったが、また少し行くと大きな三角点の 標石が現われ、そこには府駒山(1562.4m)の標識が立っていた。
府駒山山頂は樹林の中で展望は効かない。 ここから緩やかに下ってまた登って行くとドウタンツツジの花が見ら れるようになる。登りきるとヤマツツジの多いピークとなり、左側の尾根に薄い踏み跡が下っ ていっている。これを見送り平坦なドウタンツツジの咲く道を真っ直ぐ5分も行く とはじめて急な下りとなる。
下りきったところはチョとした岩場で右側が開け、 大菩薩嶺や雪のかぶった白根三山が望まれる。 これよりまた緩やかに登りとなる。高度が上がったのかミツバツツジの花も見られ、 花の梢越しに富士山も見られる。 登りが終わると前方が開け、これから登る釈迦ケ岳のピークが仰ぎ見える。道は一旦 鞍部まで下って頂上まで最後の急登となっているようである。少し下ると平坦な広い樹林の鞍部となる。これか らの登りに備えて小休止することにする。
鞍部からはいよいよ岩の露出した急登となる。白い太いロープが付いているが、 ロープを使うほどでなく登りきると一旦傾斜も緩み一息入れる。少し行くと またロープの付いている急登となり、登りきると大岩のある展望台に達する。 そこからは御坂山塊の上に富士山の均整の取れた姿が見える。また、朱色のヤマツツ ジが富士山の風景に彩を添えている。休みを兼ねて写真を写すことにする。新道峠の 富士山よりももやが取れてくっきりとしている。
ここからまたまたロープのついた岩の露出した急登である。高度も上がってきて ミツバツツジの花が目立つようになる。これを登りきると一旦平坦となり、 右側が深く切れこんでいるところとなる。下を覗き込むと満開のミツバツツジが岩壁を彩っている。
岩の露出した登りは終わり、ここからは木の根の露出した最後の急登となる。 途中、右側の切れたところの岩肌にピンクのイワカガミが咲いており、疲れを癒してくれる。 間もなく左を巻くように登ると勾配も緩み、空との境が下がってきて赤いものが見えて来る。 山頂のお地蔵さんの赤い衣かと思ったらヤマツツジであった。しかし、その先を 見るとまだ冬の装いの赤い毛糸をまとったお地蔵さんが見える。頂上に着いたようで ある。
頂上は何も遮るものが無い360度のすばらしい展望である。 まず、富士山をバックにお地蔵さんの写真を写し、その後、山の方位盤で山の同 定を行う。 黒岳、三つ峠、滝子山、大菩薩、八ヶ岳、乗鞍、甲斐駒、白根三山、赤石岳、 富士山と360度の大パノラマである。
近くに目を移すとミツバツツジの残り花もあり、 ヤマツツジが満開である。しばらく二人占で展望を楽しんでいたところ、 男性のパーテイや単独行者などが登って来る。昼にはまだ早く、 下って適当なところで昼食をとることにしてもと来た道を下る。 まだ、昼には早かったがヤマツツジ咲く伐採地附近で黒岳を眺めながら昼食とし、 その後、スズラン畑に行き、スズランやベニバナイチヤクソウの写真を写し帰路についた。

(コースタイム)
自宅4:40−新道峠7:00〜:40−どんべい峠7:50〜:55− 府駒山8:30〜:35−大岩展望台9:00〜9:05−山頂9:15〜 :50−伐採地10:55〜11:15−どんべい峠11:20

(地図)
・1/50000地形図 甲府、都留
・御坂黒岳・釈迦ケ岳略図

●追記
  • 釈迦ケ岳は展望の山ですが、ミツバツツジが非常に多く、花の山でもあ るようです。その年の春の気温にもよりますが、5月下旬ころが良さそうです。
  • 車利用でどんべい峠から登る場合は3時間位で登ってしまいます。 時間的に余裕のある時は新道峠に寄るとよいと思います。
    林道が 新道峠まで5分位のところまで通じています。駐車スペースも5,6台分はあります。 河口湖と富士山が正面に見え、展望良好です。