A.山歩き/2.山紀行/・・杓子山
杓子山



ー台風一過、登っている途中やっと顔を見せてくれた富士山ー

杓子山(03-08-10歩く)
8月3日忍野村の高座山に登ってみて、その稜線の延長線にある杓子山が気になっていた。 高座山では富士山に十分お目にかかれなかった。何としてもお目にかかりたいものだと 思っていたところ台風が来た。台風が去った翌日がチヤンスと台風一過の快晴を期待して 富士山展望の山杓子山へ登ってみた。
高座山から稜線伝いに登る方法もあるが、不動の湯の方に今まで行ったことがないので 不動の湯の方から登ることにした。高座山には熊出没注意の看板があったので、今回は熊よ けの鈴を持って出かけることにした。
車でどこまで行けるのか分からない。ひとまず不動の湯の鉱泉を目指してゆく。不動の湯へは 高座山入口の鳥居地峠を越えてゆくことにする。鳥居地峠を過ぎると下りとなり、 くねくねとすれ違いがやっとの細い道をゆくと道が広くなって数台の車が止まっている。 名水の水汲み場であった。ここを過ぎると平坦となってペンションの建物が見えてきて Tの字の交差点となる。ここを不動の湯の標識に従って右折する。
5分も走ると鉱泉が見え、お客が結構いるようで車が一杯駐車している。 道は鉱泉の前で左へ曲がり、かなりの急坂の悪路となる。これまでか、と思ったが、そのまま進むと 杉林の薄暗いわだちの所だけのコンクリート道となる。踏み外さないように登ってゆくと、ダート 道となる。そんなに悪い道でもないので、そのまま進む。昨日の台風で木が倒れて道を半分ふさいでい たりするところもあり、慎重に進む。
10分もゆくと開けた広い広場に出るが突っ切って右にカーブしながら登ると道がよくなって すぐ駐車スペースのある林道ゲート前に到着する。そこにはすでに一台駐車していた。 身支度して出発しょうとすると、駐車していた車の主が戻ってきた。ゲートには「熊出没注意」の看板 が掲げられている。この山へ登るのは我々だけのようである。安全を期して鈴をつけて歩き出す。
しばらく林道歩きである。林道の脇にはミズヒキ、ソバナ、フシグロセンノウの花が咲いている。 林道の分岐には杓子山方面の道標が立ち、迷うことはない。
30分位歩いたときだろうか、右側の沢の方で「うお〜」という雷のような音がする。雷だろうか と思うが、雷雲もない。家内が「熊よ!」と叫んだので、その方を見ると沢の対岸の斜面の 切り払われたところを黒い犬くらいの小熊が駈けあがり、林に消えていった。家内の話しによると 親熊が先に駈けあがって、その後を小熊がついていった、とのことである。 沢に水でも飲みに下りてきていたのであろうか。鈴が思わぬ効果をあげてくれた。出会いがしらだと 大変なことになるところであった。今まで熊注意の山を歩いたが実際に熊とであったのは今回が 初めてである。
やがて右手の山の稜線が近づいてきて、高座山からの山道が合わさり、峠についた。 峠からは富士山は右手の山に邪魔されて見えないが、忍野の町並みが眼下に一望できる。 チョと不思議なのは眼下の右下から、斜面のミカン畑などに設けられているモノレールの軌道が 上がってきて左上に伸びていることである。何か植林の手入れにでも使うのかと思った。
林道は峠で左に曲がり緩やかに登ってゆく。2,3分もゆくと、道標が立ち、杓子山への 登山道が右手に登っている。少し上るとパラグライダーの舞台がある。 ここからの眺めも又すばらしい。富士山は雲の中でどういう風に見えるのか定かでないが 富士山も見えるようである。
ここから本格的な登りとなる。今では珍しくなった赤松林の中の直登である。10分ほど 登るとフラットになり、道は赤松の混じる雑木林を左に巻きながら登ってゆく。裏側に行くのか と思ったら今度は右におり返して登ってゆく。そして雑木林が開け、右を見ると目の前が大きく 開け待望の富士山が雲から顔を出している。頂上に行っても雲が切れて富士山が見えるとは限らない。 このチャンスを逃すまいと大至急カメラを出して写真を写す。しばらく様子を見たが、富士山の雲は 切れるどころか、広がってゆくようだった。
それから10分あまり稲妻道を上ってゆくと、樹木も少なくなり、草地のお花畑となる。 ギボウシ、シモツケソウ、ヒヨドリソウ、ワレモコウ、キリンソウ、マルバタケブキ等が咲いている。 傾斜がきつくなった草地の赤土の道をひと登りすると空が広がり山頂に着いた。
頂上に着いてまず気になったのは富士山である。残念ながら雲の中であった。 富士山が見えたらどんなにかすばらしいだろう、と 思いつつ見渡すと、左は大平山の稜線越しに山中湖・三国山が、中心の忍野村の町並みを過ぎて右に目を 移すと、河口湖、河口湖町・富士吉田市の町並みまで見渡せられる。山頂は富士山方向を中心として実に270度くらい の大パノラマであった。
足元に目を移すと、コオニユリ、ギボウシ、ヒヨドリソウ、シシウドなどが咲いている。それらの花の上をいろいろ な蝶が乱舞している。実に蝶の多いところであった。なかなか絵になりそうであるがすばしこいのでうまく 捉えられない。追いかけながら至福のときをすごしていたが、一向に富士山の雲は切れないので、 軽く腹ごしらいをして下山することにした。
帰りはレンズをマクロに変えて花を写しながらもときた道を下った。下りついたパラグライダーの舞台付近ではカラフルな パラグライダーが2機ほど組み立て中であった。彼らはどうやって登ってきたのだろうか。 水色の幌をかぶつたモノレールがあるのを発見して、モノレール軌道敷設の謎と共にそのわけが解けた。
そこから林道下りとなる。熊のでたところをしげしげと見てみると、結構近距離での出会いであったようだ。 林道のゲートの駐車スペースには、朝は一台のみであったが、今は6,7台の車が駐車していた。 結構ハイカーが多いのに熊が出るとは驚きである。





    



(コースタイム)
自宅5:30−御殿場IC6:45−(籠坂峠・忍野村内野・鳥居地峠・不動の湯 経由)−林道ゲート(P)7:50〜8:00−峠8:35〜50−富士山展望個所9:08〜12− 杓子山9:30〜10:15−峠10:52−林道ゲート(P)11:35


(地図)
・昭文社 山と高原地図 「富士・富士五湖」
・鳥居地峠への行き方は山紀行「忍野・高座山」のマップを参照ください。