A.山歩き/2.山紀行/・・高ボッチ・鉢伏山
高ボッチ・鉢伏山

ー北アルプス展望の高ボッチ、行けども行けどもレンゲツツジ続く鉢伏山ー
ー下の写真は鉢伏山山頂の鳥居ですー




高ボッチ・鉢伏山(2001-6-23歩く)
高ボッチ。変わった名の山であるので、車で山頂附近まで登れるとか、山頂附近 で草競馬をするとか、レンゲツツジが咲いているとか、断片的に以前から知っていたが、余りにも 安易に登れるし、また、その割には遠い、などから敬遠していた。
近くのツツジの山はほとんど登りつくしたし、ツツジの季節になって、どこか ないか思案しているうちに、残っている高ボッチを思い出した。今は梅雨どきである。 高ボッチなら雨が降っても車からツツジを見られる。幸い、明日の天気はころころ変 わってきて曇りというので急遽出発した。
どんよりして霧雨が時々降る中央高速を走って諏訪湖附近に来ると大分空も明るくなり 、正面には塩尻峠から右に連なっている高ボッチの山並みが霞んで見える。 岡谷ICを降りてはじめて20号線を松本方面へ向う。くねくねと曲がりながら 高度を上げて平となり下りに差しかかるとまもなく高ボッチ高原の標識 が出てくる。
信号でもあり右折するスペースがあるのかと思ったら何もない。そして その道は民家の間を直線的に登っており、これが地図にある高ボッチスカイライン なのか、と一瞬疑ったが、行って間違えだったら戻ればよい、と思い、坂の道に入って 行く。上がって行くと高ボッチ高原の小さな方向標識がでてきて一安心する。
もう塩尻峠で900mも登ってきているせいか、スカイラインはカラマツ林の中を ゆったりと登って行く。ほとんど林で見晴らしはほとんど きかない。ICから40分程上ると、所々にレンゲツツジが見えてくる。 既に萎んだもの、満開のものさまざまである。
高ボッチ山
  やがて左側が開けてくる。牧場のようであるが、近づいてみると草競馬の看板がかかっていた。 そして下の窪んだ草地に柵が並んでおり、確かに競馬場のようである。ここから ズミなどの潅木や草原の開けたところとなり、周りにはレンゲツツジが点在している。 しかし、まだ見られるが少し遅く、もう一週間早かったら良かったようだ。 少し行くと、左側が開け、牧場になっていて牛がのんびりと草を食んでいる。
車を路 肩に停めて写真を写すことにする。思いがけず、その背景の遠くには谷筋に雪の残る 山並みが連なっている。それは奥穂高、北穂、槍ケ岳、常念などであった。意外にも 北アルプスの方は視界がハッキリして幸運であった。ほとんど期待していなかっただ けに感激して、前景にツツジ、中景に牧場の草を食む牛、遠景に北アルプスの写真を 写す。
一通り写真を写して、少し行くと、アンテナ塔の立つところとなり、牧柵もまじ かに迫り、撮影スポットらしく大勢のカメラマンが、フアインダーをのぞいている。 すぐに高ボッチ高原荘の広い駐車場に到り、そこに車を置いて高ボッチ山を往復す ことにする。両側に木の柵のある広い道を緩やかに上って行く。10分も登ると 山の方位盤のある山頂についた。
もう。北アルプスの山並みは霞んでほとんど見えず、 鉢伏山の方も雲が多くなり、雨がポツポツ降ってきた。花も旬の過ぎたツツジのほか には少しアヤメが咲いている程度で見るべきものはない。山頂附近を一周して駐車 場に戻り、鉢伏山の方に向う。雨もにわか雨のようですっかり上がってきた。ズミなど の茂る道を少し下ると、崖ノ湯温泉への道が 左に下っている。これを見送って真っ直ぐ行く。
すぐに、ズミの古木の茂る雰囲 気の良い林が右側にあったりする。高ボッチはズミの山でもあるようだ。 これを過ぎると右手にレンゲツツジで朱色に染まったピークが見えてくる。地図によ ると横峰というところらしい。高度が高いのか、レンゲツツジの花付きも良くなる。 平坦な道を少し行くと、いよいよくねくねと高度を上げて行く。
鉢伏山 
右側に大きな 山が仰ぎ見えてくる。斜面のほとんどが草地のようで、その斜面に無数の朱色のツツ ジが散りばめられられている。鉢伏山のようである。途中、路肩に車を停めてみると、 谷を隔てて向う側に鉢伏山が大きく横たわり、色鮮やかな朱色のレンゲツツジがこ ちらの斜面から谷を渡って山頂まで登っていっている。谷の源流の鞍部附近には 鉢伏山荘の洒落たサイロ風の山小屋が立っている。高度が高くなったので、鉢伏山附 近のレンゲツツジは今が満開である。
鉢伏山荘の駐車場に車を置いて(500円/台)鉢伏山に登ることにする。広い道 を鉢伏山と前鉢伏山との鞍部に向けてゆったりと登って行く。鞍部に着くとそこは 十字路となっていて、左は前鉢伏山、右は鉢伏山、真っ直ぐは扉温泉である。 左側の前鉢伏山もレンゲツツジで朱色に染まっているが、そこは後回しにして、 まず右の鉢伏山に登ることにする。
少し登ると鉢伏山荘の上にでる。レンゲツツジ咲く斜面を背に、サイロ風の 鉢伏山荘が実に美しい。 早速カメラを出して撮影する。更に登って振り返るとツツジ咲く下斜面の向うに 美ヶ原の台地が青く霞んで横たわっている。いつか登った茶臼山は台地に溶けこんで 同定できないが懐かしく思いだす。
やがて、二ッ山への分岐となり、広い道が左に斜面を横切って尾根の裏側へと消えている。 その先が何があるか気になり、帰りは二ッ山の方を覗いてみたい衝動に駆られる。 とりあえず真っ直ぐ石の多い道を登って行く、傾斜が少しきつくなり、日頃余り運動 していないせいか、呼吸が早くなる。色鮮やかな満開のレンゲツツジ が点在する草地の斜面は上の空に向って広がっている。右の眼下にはレンゲツツジで 朱色に染まった前鉢伏山が見渡せられる。
やがて傾斜も緩んでくると左側の小笹の草地にはレンゲツツジが点在し、その奥には シラビソであろうか木立がたたずんでいる。少し行くと山道の近くに三角点があり、 そこが鉢伏山山頂であるが、標識はない。まもなく丸い展望台が見えてきて山頂と なる。また、近くには鉢伏明神の鳥居と祠がある。その近くで昼食とする。 昼食の後、展望台に上がってみる。谷へ下っている斜面には車から見えたツツジで あろうか色鮮やかな朱色の絨毯が広がり、谷へ下がっていっている。後を見るとシラビソが疎らに 立つ丘の林床をツツジが朱色に染めている。本当に雰囲気のよいレンゲツツジ咲く 高山の風情である。
二ッ山方面
このあと二ッ山分岐から右に入り、二ッ山の方を覗いてみることにした。 尾根の裏側に廻り込むと谷となり、その向いの尾根がレンゲツツジの群落で朱色に 染まり、さらに右手斜め前方に鉢伏山から続く尾根の連なりの先に朱色に染まっ たピークが見える。
尾根のピークの先に何があるか、更に行ってみることにした。そこに辿り つくと同じように左側が谷となり、その向いの枝尾根が朱色に染まっている。そして 主尾根の前方は緩やかなピークとなっている。更に行ってみることにする。 そうするとそこは「山」という字が彫られた石柱があり、立札には横川山とあった。 尾根、谷筋、樹林帯の境など一面朱色のレンゲツツジで覆われた丘のようなピークであった。
大体分岐から二ッ山までの距離の半分弱のところである。 そこからは左手斜め前方にレンゲツツジの点在する尾根が下って延びて一部朱色に染 ったピークにつながっている。そのピークの陰の先に樹林の青で覆われた二ッ山が見 られる。「行けども行けどもレンゲツツジ続く鉢伏の山」である。際限がないので 横川山で止めて戻ることにした。本当にすばらしいレンゲツツジ咲く風景である。 人は誰もいなく二人占めの至福の時を過ごす。
大満足でのんびりと下りながら正面の鉢伏山を見ると、 シラビソのまばらに茂る裏斜面は、もう日がかげり、レンゲツツジがボー と薄明るく樹間に点在していた。それはまるで至福の余韻のようであった。

(コースタイム)
自宅4:50−双葉SA6:55〜7:05−岡谷IC 7:55−高ボッチ8:35−鉢伏山荘(P)11:35−山頂12:00〜 12:40−二ッ山分岐12:50−横川山13:20−二ッ山分岐13:43− 鉢伏山荘13:54
高ボッチから鉢伏山荘の間の時間は、高ボッチ山を往復したり、途中で車を停めては 写真を写したりして道草をしております。車でゆっくり20分ほどで行きます。

(地図)
・ゼンリン 地球の風登山ハイク 霧ケ峰美ヶ原
・1/25000地形図 鉢伏山

●追記