A.山歩き/3.山紀行/・・塔ノ岳
塔ノ岳

ーー夏、涼しい沢沿いの コース、書策新道から塔ノ岳へ登るーー

盆はどこへ行っても車が渋滞するので、近場に行くことにした。30年振りくらいに なると思うが、水無川から塔ノ岳へ登ることにして朝8時頃自宅を出発する。 大倉には9:00頃着いた。馬鹿尾根を下ってくると最後に大倉で林道に出るが、 その交った少し先の路肩に車を置いた。滝沢キャンプ場を横切って対岸の52号 線(元戸川林道)に上がり、林道をひたすら行く。30分も歩いた頃、 後から軽トラックが来て、「どこまで行くの」と声を掛けられた。 「戸沢まで」と返事すると、乗せていってくれるとのこと。 家内と二人、荷台に乗せてもらう。
途中の水場は竜神の泉となっているし、 烏尾尾根の登り口は広場になって新茅荘という小屋があった。
みちがえるのは木々が大きくなって下の水無川の河原や対岸が見えないこと である。 以前は新茅の沢の橋あたりからモミソ沢の出合に大きな一枚岩が見えたが、 今は見当たらない。
少し行くと林道は最も高いところになり、そこから戸沢へ下って行くこと になるが、以前は戸沢の山荘やキヤンプ場が 見えたが、今は見えない。そばに行くとキャンプ場が広々と整備され、多くの車 とテントがある。そこから少し行ったところにバンガローがあり、 そこで車は停まった。
親切に乗せてくれた人は戸沢バンガローの管理人であった。 いろいろ話をしているうちにワラジ、ワラゾウリを作って売っていると云うので、 ワラゾウリ2足を買った。なかなか感触が良く、台所の草履代わりに長いこと使った。 また、書策新道はどう行くのか尋ねたところ、秦野市商工観光課発行の 表丹沢ルートマッブまで戴いた。
お蔭で時間を1時間半ほど短縮できた。 今日は戸沢まで来るのに時間を取るようだったら、 モミソ沢から馬鹿尾根に上がるつもりであったが、 この分だと十分塔ノ岳まで登れそうである。
水無川の橋を渡り、無人の水無し山荘の脇を通って書策新道に入る。 初めは右岸(右岸、左岸は上流から見て)の杉林の中を本谷沿いにジグザグ高度を稼ぐ。 そのうち沢沿いの道となり、沢の音を道ずれに杉や雑木林の変化の無い道を行く 。1時間弱も歩くと、本谷のF5の上部にでた。 上のほうを見ると小さな滝が流れている。その右には大きな一枚岩が立ちふさがっており 、ハシゴが掛けられているのが見える。この河原で一休みする。
夕べは台風が通過して、その余波で風が強く、まだ空は曇っている。 そのせいもあり、涼しく別天地である。天気予報では午後から台風一過快晴になり 、気温は35℃まで上がるという。一休みの後出発する。
右手の枝沢に入ってすぐ右手にハシゴがあり、そこを登って尾根に取り付く。 くねくね登りながら高度を稼ぐと、時々展望が開け、 眼下に戸沢の小屋が見える。尾根の右手に廻り込むと沢の音がする。 どこの沢なのかわからなかったが、家に帰って調べて、セドの沢の左俣であった。 左俣の枝沢を渡り、まもなく左俣に突き当たる。 これも横断するのかと思ったら赤い丸や矢印が沢の上流へと導いている。 ゴロー状の沢を少し登ると左側の枝沢から落差7,8mの白竜の滝が落ちている。 ここで一休みする。
ここから10分も登ると源流に近いところに着いた。 そこにはペットボトルが散乱していた。こんなところにゴミを捨てるとはマナー の悪い登山者もいるものだと思ったり、あるいは昨夜の台風で山小屋から流され てきたのかとも思った。ところが、書策小屋に着いてそのナゾが解けた。 そこは書策小屋の水場で、泊まる人や書策小屋を知っている登山者が水を 小屋まで運ぶためのペットボトルであったのである。それが台風で少し散乱し ていたようである。
この水場の近くに右の尾根に取り付く道があり、いよいよ最後の登りとなる。 20分も急登すると表尾根が見えてきて、すぐ書策小屋である。 早速、小屋のおじさんにペットボトルの話をしたところ、 前述のようなわけであつた。ようやくガスも切れてきて 下の方の見晴らしは良くなったが、まだ、塔ノ岳はガスっている。 書策小屋から塔ノ岳までもう1時間はかかりそうだ。昼飯をベンチで済まし、 新大日、木ノ又へと登る。
30年前は登ることだけで植物や景色など眼中になかったが、マルバタケブキの 黄色い花や、花は既に終わっているがミツバツツジの木が多く、なかなか趣のある 登山道であることを改めて認識した。
ようやく頂上について、その変り様に驚いた。 赤土の滑りやすい頂上であったが、今は頂上を中心に階段状に整備され、 尊仏山荘の前は芝生状の草地となっていて、鹿が1頭寝そべっている。 台風の余波で風は強いが、だんだんガスが切れていって富士山まで クッキリ見える台風一過の快晴となった。周囲の山々の緑も色濃く、 こんなにすがすがしい気分になったのは久しぶりである。 30分ほど休憩して大倉尾根へ向かう。
下りは2時間とあるが、階段が多く膝がガクガクしてきて 3時間10分もかかった。全く、馬鹿尾根は年寄りには良くない。 (1996−8−15歩く)


(コースタイム)
自宅7:55−大倉9:00−(この間、軽トラに乗せてもらう)−戸沢9:55− 本谷F5上10:45〜11:00−白竜の滝11:35〜11:45− 書策小屋12:20〜40−塔ノ岳13:40〜14:10−堀山の家15:40− 大倉17:20

(地図)
昭文社 山と高原地図 丹沢

●追記

  1. 本コースは梯子があったり、セドの沢を登ったりしますが危険 なところはありません。
  2. 大倉には風の吊橋ができ、駐車場も完備されました。
  3. 戸沢まで車で入れば、馬鹿尾根から戸沢に降りる道があるので、 書策新道と合わせて周回コースとなります。
    戸沢にはキヤンプ場があり車が止まっていまし たので、駐車できると思いますが、確認は取っていません。ご存知の方がいましたらお 知らせ下さい。
[山紀行]