A.山歩き/2.山紀行/・・美ガ原・茶臼山・物見石山

美ガ原
ーー茶臼山・物見石山ーー

美ガ原の栄光の残る茶臼山
レンゲツツジの美しい物見石山



美ガ原・茶臼山('00-6-29歩く)
梅雨の合間をみて、花の咲いている山、どこへ行こうか思案する。先日、 守屋山へ行った帰りビーナスラインで霧が峰を通って帰ってきた。 レンゲツツジが満開に近かった。
霧が峰は標高1600mから1700mくらいである。あれから一週間強 たっている今だと、1800mから1900m位のところがツツジが満開である。 そうすると笠取山、湯の丸山ということになるが、前者は何回もいっているし、 後者は少し遠く、それなりの覚悟をして出かけなければならない。
気軽にということで、車で美術館とか見ているが、いつも山は素通りしている 美ガ原はどうだろうと思って調べてみた。茶臼山に美ガ原の栄光が残っていると言う。 栄光を求めて、気楽に山本小屋から登ることにする。
夕刊の天気予報はお日様マークで晴れである。岡谷ICでは曇っていたが、 もしかしたら、そのうち雲が切れて、北アルプスが見えるかもしれないと期待しながら 和田峠に向かう。
ビーナスラインでは右手のほうの雲が切れ富士山が見えたりする。 9時頃には山本小屋に着いた。駐車場も梅雨時のせいか閑散としている。 山に登りそうな人は写真を写しに来た男性一人と言うところである。
曇って遠くの山々は見えないが近くの視界は悪くない。早速身支度して美しの塔 方向へ向かう。広い道路の両側には木製の立派な牧柵が道路に沿って水平線の空に向 かって伸びている。
また、牧場では、のどかに乳牛が草を食んでいる。我々が近づくと、今日は人が 少なくて珍しいのか我々をジッと見ている。
牧場の草原は、タンポポの花がさかりで一面黄色である。また、朱色のレンゲ ツツジも点在し、彩りをそえている。
いろいろ美しい風景が見られるが、写真を写すのは帰りにすることにして、 先を急ぐことにする。
塩くれ場に近くなると、牛が群がって何かを食べている。よく見ると名の通り コンクリート製の樋の容器の塩を食べているところであった。
塩くれ場は分岐になっていて、左側の百曲り方向に向かう。牧柵は有刺鉄線に 変ったが、道は広く、丘を緩やかに登っていく。
レンゲツツジが多くなり草原をだいぶうめつくしているところもでてくる。 道なりに15分も歩いたところ、左手が広場になって、ベンチもある。 その先は崖になっていて、危険防止のためかコンクリート製の丸太の柵が 巡らされている。
付近を良く見ると、地面に朽ちた道標の板が置かれており、百曲り終点と読める。 ガスが切れた時、下を見ると道が急斜面をくねくねと下っている。
茶臼山への道は左手のはずと、崖の縁や牧柵の周りを探すが見あたらない。 地図を広げて調べてみた。茶臼山への道は百曲り終点よりだいぶ手前から牧場の中 を行くようになっている。
見落としたのか、そんなはずはない。見つからない時は王が鼻にても行ってみよ う、と考えつつ右手を注意しながら戻る。5分も戻ると朽ちた道標の柱だけが立ってい る。その下に道標の板がおいてあり、来る時も百曲り方面を確認してきていた。
もう一度見なおすと柱の蔭に茶臼山への道標があつた。また、牧柵の入口は、 公園の車進入防止の柵と同じような逆U字の柵が設けられている。
茶臼山への道は牧場の草原の中の地面が所々露出した細々とした踏み跡であった。 観光地だから立派な広い道で、道標もキチンとしているであろう、という先入観がい けなかったようである。
道は牧場の草地の中をゆくが、そのうち崖沿いに設けられた有刺鉄線の牧柵に 近ず離れず行くようになる。崖の下から結構強いガスを伴った風が吹き上げてくる。 草地のところは地面が見えたりするので分りやすいが、ガレ場状のところは分りに くく、道標や踏み跡を確かめながら進む。
草地の花は夏場は豊富であると思うが、今回はミツバツチグリのような葉を持つ 白い花やマイズル草が群生していたり、ところどころにレンゲツツジのまとまった株 がみられるていどであった。
25分も行って、少し登りとなりレンゲツツジが見られるようになると牧場内 の道は終わりとなる。
逆U字の柵を出ると樹木がみられるようになり、山へやって来たなぁ、という 思いとなる。
最初に目に付いたのはドウタンツツジであった。色が赤くあざやかで釣りがね状 の花が鈴なりになって咲いていた。
草付きのガレ状の道を少し下るとケルンがあり、さらに下ると道標の立つレンゲ ツツジの咲く鞍部となる。そこから上に道が登っており、登りきると古い牧場の 逆U字の柵がまた現れる。
ここから平坦な尾根道となり、樹林帯に入ったと言う感じである。小さい笹の原 の斜面には白樺、カラマツなどの木が見られ、レンゲツツジが彩りをそえている。
レンゲツツジの色の鮮やかなのにはびっくりするくらいである。また、道端には 初めてみたがテガタチドリらしい花が咲き始めていた。
また、登りとなり、その斜面の右側には、ドウタンツツジに似るがピンク色で、 釣りがね状の花の先端が外側に反り返っている花があちこちに見られた。 家に帰って調べたところ、ツリガネツツジであることが解った。 これも初めてで収穫であった。
一旦平坦になり、笹の原をゆくとまた階段状の登りとなる。このあたりから、 左側に枯れた笹が目立つようになり、右側は道沿いに草原が展開し、その奥は カラマツ林で展望はきかない。その草原にはヤナギランが群生しており、8月の花の 頃になったら見事な景色になるだろうと想像される。
この階段を登り切ると前方にレンゲツツジで覆われた小ピークが見えてくる。 ピークに向って緩やかに登っていくと、ピークの上の空にケルンの先端が現われ、 だんだん大きくなり、頂上に到着した。
頂上にはベンチがあり、一休みする。晴れたら展望がすばらしいらしいが、 今日は近くのレンゲツツジもガスで見え隠れするくらいで、遠くは何も見えない。 昼まではまだ間があるので下ることにする。ドウタンツツジ、レンゲツツジ、 ツリガネツツジなどの咲く風景を写しながらのんびり下った。
しかし、晴れるどころかますますガスが濃くなる。牧場の今朝の出口で写真は 打ちきり、また、だだ広く何も目標のない牧場の中の草地やガレ場の道を行く。
丁度半分くらいまで来たところで、とうとう雨が降ってきた。カッパを着て歩 き出すが、視界が悪く、道の先々を予測できない。結局、足元の道を確認しながら 手探り状態で牧場の今朝の入り口へ向う。
特に道の判断を迷うようなところはなかったが、広い塩くれ場への道に到着 した時はホッとした。
美しの塔に近づいても、今朝の牛や美しい景色はどこへいったのか何もない。 今朝、写真をうつさなかったことが悔やまれた。
どうも、美ガ原は余りにも観光地化しているためにハイカーが余り近づかず、 登山道が他の山より荒れているのではないだろうか。それが、逆に美ガ原の栄光 を保存することにつながるかもしれないが。
考えようによっては観光道路のある頂上付近さえ目をつぶれば静かな山歩き が期待できそうである。今度は下の三城牧場あたりを基点に周回したいと思う。

(コースタイム)
自宅4:55−相模湖IC6:19−双葉SA7:05〜15−岡谷IC8:00− 山本小屋9:06〜20−美しの塔9:55−塩くれ場9:42−茶臼山登り口 (牧場入り口、入り口探すのに25分位ロスった。)10:15−牧場出口10:40 −茶臼山11:10〜25−牧場出口12:15−登山口(牧場入り口)12:40 −山本小屋13:15

(地図)
・1/25000 地形図 和田、山辺
・茶臼山略図


 
美ガ原・物見石山('02-6-28歩く)
テガタチドリ
今年も最後のレンゲツツジを見ようと美ガ原を計画した。どこが良いのか、いろいろ 調べているうちに、チョッと美ガ原から外れたような余り知られていない、いや自分 だけだったかもしれないが、物見石山、というのが気になった。
今年は例年に比べて花が早いので、早く行こうと思っていた。行こうにも天気が悪くやきもきしていたが、 ようやく6/28天気も回復し、少し遅いかなと思ったが出かけてみた。
これまでは美ガ原には岡谷ICで降りて、20、142号線を経て和田峠からビーナスラインに入っていたが、 ビーナスラインが無料開放ということから、茅野ICで降りて霧が峰の強清水を経て、ビーナス ラインに入り美ガ原に向かった。どちらかというと今回の方がより自然の多いところを通るので 好ましい感じがした。
和田峠からのビーナスラインは、昨日までのシトシト降った雨がウソのように晴れあがり、霧がどんど ん切れて行く。雨で洗われた木々や草原の緑が目に染みるようだ。そして笹の斜面にレンゲツツジも点在し ている。このぶんだと上の方もレンゲツツジが期待できそうで、一安心する。
山本小屋の駐車場に車を置いて、ビーナスラインの方に向かう。左側の道端にはテガタチドリが 一杯咲いている。一昨年、茶臼山で見かけたが、こんなに身近なところに咲いているとは驚きであった。 向かう前方の樹の間からレンゲツツジで赤く染まった山がのぞいている。それが今日登る物見石山 だろうか、と思いながら左折して美ガ原美術館の方に向かう。
10分も歩くと美術館の野外オブジエが見えてくる。そろそろ右に入る道があるはず、と右を注意しながら 登って行く。和田村、標高1959mの標識があるあたりの右側(略図D)に朽ちた道標が立っている。 ここに間違いないと思うが道らしきものはない。右の上の方を見ると少し小高いところにケルン(略図D)が立っている。 強引に草地をそこを目指して登って行く。ところどころ踏み跡みたいなものもあるが不明瞭である。
ようやくケルンの丘に立ってみると、美ガ原美術館のお城のような建物などが見え、また右の斜面の所々にはレンゲツツジが 点在している。しかし、道のほうはそこに立っても判然としない。地図上は広い尾根の上を上に伸びている。 丁度、目印になる土や石が露出している地面が帯状に尾根沿いに伸びている。それに沿って緩やかに登って行く。 そうすると、小さなケルンの点在しているところにいたり、その先に大きなケルン(略図C)も立つている。
ここで、左下を見るとビーナスラインが廻りこんできており、ガソリンスタンドやレストランのある 美ガ原SAが見渡せられる。ビーナスラインのヘヤーピンカーブ付近から遊歩道がこちらに伸びてきて、 山の方に消えている。このケルンからは道がはっきりして、満開のレンゲツツジの中を遊歩道めがけて下っ ている。遊歩道に降り立つとそこまで 車で来た老夫婦と会う。何で、ここに?と思ってよーく見ると、立て札があり「レンゲツツジ群生地」 とある。そして「物見石山」方面の道標も立っている。
登って行くと石碑とアンテナが立っている。周りはレンゲツツジで真っ赤に燃えている。 面積はそれほど広くないがレンゲツツジの園地という感じである。先に進むとカメラマンが二人ほど写真を写し ている。知らなかったのは自分だけで、写真をやる人には結構知れているんだ、と思いながらレンゲツツジの写真を写す。
さらに先の広い尾根道を進むと、右側が開け、笹とレンゲツツジの原が広がり、その先は樹林帯となり、 山々がガスにかすんで見え、雰囲気の良いところとなった。
さらに写真を写しながら行くと、 ケルンが立つている。その傍に「物見石山頂」方向を指している道標も立っている。そして前面がパッと開け、草原の窪地を隔てて 前方にケルンの立つピークが右手前方に見え、一筋の道がピークへと駈けあがっている。
あゝ、あれが山頂かと思いながら、下って行く。下ったところは笹の草原で、ピークの左下あたりが レンゲツツジで赤く染まっている。また、ピークの左側を巻く道もある。 ピークへの道は裏側で巻き道につながっているはず、と思い、まずはピークに登って、それからピークを越えて 巻き道を戻ってくることにする。
あっけなくピークに登りついた。そこにはケルン(略図A)が立っており、見晴も悪くない。 だいぶ道草したのに1時間で着いてしまった。ピークには「物見石山」の標識はないが、山頂だろうと思いこむ。 小休止した後、まだ、時間も早いので、先にレンゲツツジの咲くところもありそうな気がし、 先に進む。下ってゆくと予想通り、巻き道と一緒になった。
少し進むと樹林となり、ハイマツの赤いマッボックリ やドウタンツツジ、フウロウの花も見うけられる。この樹林をくぐり抜けると、尾根はやゝ狭くなり、右下に大きな斜面が 谷へ落ち込んでいる。そしてガスった尾根の先にケルンと道標のシルエットが見えてきた。もうこの辺にしょうと思いながら行ってみると、驚いたことに、 道標には物見石山山頂とあった。もう、物見石山はとっくに過ぎたと思っていたので本当にビックリした。 と同時に、好奇心をもってここまで来て良かったと思う。大体こういう場合は良いことが多い、お花畑に当たるとか・・・ 新しい発見がある。
ここは尾根の先端のようなところで右前方の見晴は極めて良く、遥か下を 所々レンゲツツジの赤がちりばめられた尾根が伸びていっている。ガスは右から左へと尾根を越え流れ、 尾根を境に左側で白く渦を巻きながらよどんでいる。まるで水の流れのようである。 そのダイナミックな光景を眺め、写真をうつした後、もと来た道を引き返した。
Aピークの巻き道 付近は広い笹の原に針葉樹やダケカンバが点在し、レンゲツツジが彩りを添えて、好ましいところであった。 また、レンゲツツジの群生地の石碑のあるあたりに来ると、11:00の鐘の音が響き渡った。 牧歌的な雰囲気がそうさせるのか、鐘の響きも違和感はなかった。少し早めだったがケルンBで昼食とした。
ビーナスラインDからは少し右上の方から、美術館の柵沿いに白い砂利道が登っているのが見え たので、その道から牛伏山へ登って山本小屋にもどることとした。
適当に草原を横断して白い砂利道に入り登っていった。この道はテガタチドリの道であった。ピンクの 穂先のような花が沢山咲いている。それは牧歌的な草原の道に似つかわしい可憐な花であった。
ケルンの林立する牛伏山に登ると大展望が待っていた。レンゲツツジの時期であるので、その彩り からレンゲツツジの群生地が同定できるほどの大展望であった。群生地は美ヶ原高原ホテル付近、美しの塔の上のあたり、茶臼山への牧場の道、それから遥か 彼方の武石峰付近などであった。この大展望を満喫した後、山本小屋へと下った。
山本小屋には、ただいまレンゲツツジ祭り、とあり、ソフトクリーム300円のところが200円の サービスを行っていた。折角なのでソフトクリームを買って食べてみた。適度な甘さで美味しかった。 その後、霧が峰、白樺湖、八子ケ峰公園、蓼科、17号線、八ヶ岳横断道路を経て、小淵沢ICから帰路についた。

(コースタイム)
自宅4:35--茅野IC7:20--山本小屋(P)8:25〜35--Aピーク9:30〜40--物見石山9:50〜10:10-- アンテナ11:00--ケルンB11:10〜40--ビーナスラインD11:50〜55--牛伏山12:08〜15 --山本小屋(P)12:30〜50--小淵沢IC15:30

(略図)

●追記
  • コースのD〜B間は道が極めて不明瞭です。ガスったとき、道なき草原を歩きたくないときは、少し距離は長くなりますが ビーナスラインをそのまま行って廻りこみ、遊歩道に入り、レンゲツツジの群生地から登ると良いです。
  • ビーナスライン無料開放されました。
  • 山本小屋の駐車場は無料ですが、トイレは有料です(100円)。