A.山歩き/2.山紀行/・・横尾山
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横 尾 山
〜(2011-6-22)の記事と写真を追加しました〜
ーー瑞牆山の岩峰が望まれるレンゲツツジ咲く草原ーー


レンゲツツジ咲く草原から八ヶ岳 ('11-06-22 写す)

横尾山(1996-6-24歩く)
横尾山に は新緑の6月に今まで4回登っている。 最初は信州峠という登山口の名前が気になって登った。 そのうち、レンゲツツジ、グンナイフウロウ、ドウタンツツジ、ベニバナイチヤクソウ、 スズラン、ツバメオモト、マイズルソウ、アヤメ、ヤグルマソウなど、 花の豊富さに加えハルゼミ、小鳥のさえずりなど、心地よい山歩き を約束してくれるので、繰り返し登るようになった。
信州峠の空き地に車を置き出発する。登山口はコンクリートの階段である。階段を 上って雑木林に入ると、 そこにはわずかであるがベニバナイチヤクソウが咲ている。 この雑木林を抜けると広い伐採地にでる。植林した木々の丈も以前より だいぶ大きくなってきてはいるものの、視界が開け、 これから登る横尾山の手前のピークの斜面が望まれる。 足元にはアヤメ、アザミが咲き、 右側の雑木林との境付近には満開のレンゲツツジも咲いている。 また、ウグイス、ホトトギスの声も聞かれ、遠くでカッコーも鳴いている。 今年も、また、なつかしい横尾山にこれた幸せを感じさせる。
今年は遅く来たせいもあり、草の丈が大きく、道に覆いかぶさってきており、 手で払いながら伐採地を登る。ようやく登りきると、傾斜も緩やかになり、 カラマツ林の道となる。カラマツの林に入ると例年ハルゼミの声が聞か れるが今日は日差しがなく、まだ聞かれない。 平坦なカラマツ林から尾根状の道にさしかかり、カラマツの混じった雑木林 となる。時々、薄日が差して、レンゲツツジの朱色が樹間にあざやかに 輝いている。
いよいよ急登となるが、最初は雑木林の登りで、周りも見るべきものはない。 ただ、足元を見つめて黙々と登る。 樹間より薄日の差すところに場違いのグンナイフウロウが咲いていたりし て驚かされる。
やがてダケカンバの大木が道をふさぐように立っていると ころに来ると、道は岩混じりの急登となる。右手の斜面は新緑が 美しい白樺林で、地表はヤグルマソウの群落で覆われている。 気持ちの良いところである。きつい登りも忘れさせてくれる。
気分を一新し少し登ると、今まで時期が早くて気づかなかった のかもしれないが、今回は見事なドウタンツツジの群生が目にとまった。 鈴なりの釣鐘状の花には白いものや赤みの強いなど何種類かあった。 ドウタンツツジを観察しながら登ると、やがて木々の間が明るくなり、 レンゲツツジが咲く草原に出た。
今年は来るのが遅かったが、低温が続いたせいもありレンゲツツジは満開である。 なだらかなカヤトの草原の斜面は朱色の絵の具を散りばめたように点々と レンゲツツジが咲いている。 花を愛でながら、のんびりと次のピークへ登って行くと、登りきったところも レンゲツツジ咲く草原で、アヤメ、グンナイフウロウの紫の花も咲いている。
やがて、岩の多い樹間の尾根の道となり、やせ尾根の右を巻くようになる。 巻き道の付近はマイズル草がびっしり生えており、 もう花は終わっていたがツバメオモトの群生も見られる雰囲気の良いところで ある。 この巻き道を過ぎるとスズランの花が見られ、 また、花の終わったミツバツツジの木が多く見られるようになる。 いくつかの小さいピークを越えると見晴らしの良い小さな草原の鞍部にでる。 眼下には、飯盛山方面ののどかな牧場、川上村のパッチワークのような レタス畑が見渡される。そこから急登して平坦な道をわずかに行くと 横尾山の頂上に達する。三角点があるので頂上とわかるが、平坦なところで、 頂上らしくないところである。 視界は飯盛山方面はきくが、川上村の方は木々でさえぎられてきかない。 レンゲツツジと道標をバックに写真を写し、ひと休みし、もと来た道を下山 した。
帰りはガスもきれて、レンゲツツジの咲く草原では瑞牆山の特徴ある岩峰が見られ、 また、カラマツ林ではハルゼミ、ホトトギスの声も聞かれた。 伐採地で、これから登る夫婦と会い、「上はツツジが満開ですよ」 と声をかけると、「ええ、ここからも見えますよ」との返事。振り返ると、 今朝はガスで見えなかったが、朱色に染まったツツジの咲く草原のピークが 木々の間からわずかに見える。
信州峠を発ったのは7:35で、戻ったのは12:10である。 まだ早いので川上村の方へ下ることにした。高原野菜畑の一直線の道を振り返ると、 横尾山の牛の背のような形の尾根がツツジで朱色に染まっている。 馬越峠の方に向かい、途中、カラマツ林のベニバナイチヤクソウの群生地で写真を写し、 その後、天狗岳下の大深山遺跡を見学したり、 野辺山で高原野菜をおみやげに買ったりして、 須玉ICより帰路についた。

(コースタイム)
自宅4:15−相模湖IC5:25−2双葉SA6:11〜40−須玉IC6:50 −信州峠7:25〜35−ツツジ咲く草原8:40〜9:15−横尾山10:00 〜10:15−−ツツジ咲く草原10:45〜11:15−伐採地12:00 −信州峠12:10

(地図)
地形図 横尾山付近

●追記 (2011-06-22歩く)
信州峠は時々通るが、横尾山に登るのは15年ぶりである。今回もレンゲツツジの咲く頃を見計らっての 訪問である。どう変わったか興味深々である。
階段を上り 、勝手知ったエゾハルセミの鳴く自然林に入ってゆく。以前より、木々が高くなり、包み込まれる感じで いい雰囲気である。この自然林を過ぎると伐採植林地になり、大きく開け、林縁にはレンゲツツジも咲いていた15年前。 それが何時までたっても開けない。そして高さ10m〜15m位のカラマツ林になる。そうだったのか、あの時植えられた木々 はカラマツだっんだんだ、と思い出す。林床には葉っぱを開いたワラビが少し生えていて、以前ワラビの生える草地でも あったことの痕跡があり懐かしい。
緩やかに登りだすと旧伐採植林地は何時の間にか過ぎ、カラマツの混じる自然林の高木の道を行く ようになる。段々尾根状となり、並木道のようなところを行く。更に尾根は狭まり、ダケカンバの点在する自然林のトンネル を行く。木々が大きくなったので明るく風通しも良く、吹き抜ける風が心地よい。
狭い尾根が終わってカラマツ林の窪地に至ると、そこから 本格的な登りが始まる。空が見えたり、ドウタンツツジが咲いたりしている疎林の小笹の道を登ってゆく。 やがて、以前、登りで、もっとも雰囲気の良かった岩が混じり地表はヤグルマソウの群落があった場所に至る。今はヤグルマソウも少なくなっているが 昔の面影が残っていている。
ここからレンゲツツジ咲く草原台地まで急登が始まる。あえぎあえぎ登って行くが、天を覆うダケカンバの新緑とか、ドウタンツツジが実に美しく、疲れを忘れさせてくれる。 写真を写しながら登ってゆくと、上の方の緑のトンネルの先にオレンジの花が見えてきて、開けた草原台地に飛び出す。レンゲツツジが以前と違わない華やかさで迎えてくれる。
左に見えるはずのみずがき山は、右のレンゲツツジの原は、と気になりレンゲツツジの間から覗き見る。左のみずがき山方面を見ると、梅雨どきには珍しく秋の空のように澄み切ってくっきりとみずがき 山が見える。その右にこれまで横尾山で見たことがなかった富士山までが見える。右のレンゲツツジの原も健在である。 少し登って尾根に出ると見晴らしが一段とよくなり、左側のカヤトの原にレンゲツツジが点在し、その向こうにみずがき山や富士山が見え、 正面には八ヶ岳までも眺望される。花や野草の宝庫と思っていたが、こんなに眺望が良かったとは・・・。 レンゲツツジを前景に見る富士山は甘利山のようである。更にもう一段上の尾根に登ると、レンゲツツジを前景に甲斐駒や川上村のの銀色に光る レタス畑も見える。
少し行くと草原は終わり、ドウタンツツジの咲く林縁から樹林の尾根道に入ってゆく。 ほとんどは岩まじりの尾根の樹林帯の道で、木々も大きくなって見晴らしはほとんどきかない。途中、岩尾根を右に巻いて上がったところは以前はマイズルソウ、スズラン、ツバメオモトなどが咲いていて、お気に入りの場所であった。 花を探してみたが、残念ながらほとんどなく、15年の歳月の経過を感じる。 少し行くと岩尾根の見晴らしのいいところに出る。前方向かいにビークが見え、そこに向かって一旦下り、見覚えのあるズミとヤマツツジの咲く山道を登り返すと横尾山であった。
なお、下の写真は今回写したものです。




富士山とレンゲツツジ




ベニドウタンツツジ 草原台地への山道にて




ダケカンバの新緑 草原台地への山道にて

( Canon EOSkissX / EF-S18〜135 IS にて撮影 )